おっちょこちょいのかよちゃん
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238 鎖鉄球の威力
前書き
《前回》
アルフレートと交戦するかよ子達はラクシュミー、上市、髙田の介入で巻き返しを図る。アルフレートが持つ短刀から出された竜巻はかよ子の杖が出した竜巻と酷似していた。かよ子の決死の武装の能力で短刀から出される竜巻や電撃を弾き返し、かよ子は己の杖が今どうなっているのか問答する。アルフレートはラクシュミーらの攻撃で死亡するが、遺された短刀を手掛かりに先へ進む。その一方、冬田、三河口、湘木はスターリンという男の襲撃を受けて苦戦していた!!
本部の管制室。まき子は娘が西側へと向かっている様子を確認した。
「かよ子達が西側へ向かってるわ」
「ああ、だが、そこはかなりの強敵がいる。ヴィクトリアという嘗ての女王が統治している区域だ」
イマヌエルが解説した。
「ヴィクトリア女王の事?」
「ああ、嘗てイギリスの女王だった」
「でもその女王がどうして戦争主義の世界の人間になってるの?」
「それは嘗て大英帝国を形成し、かつ拡大させていくのだが、それは積極的に戦争を行う事だったのだ。それだけではない。彼女は短気で直情径行な性格で無理矢理周囲に自分を信頼させようとする癖がある。さらにはインドやエジプト、スーダンに中国など植民地支配をした結果、現地の民はそれを受け入れず反乱を起こす原因も作ったのだよ」
「偉人とは思ったけど、色々トラブルも起こしてるのね」
「ああ」
その時、通信が聞こえる。
『こちらフローレンス。赤軍の西川純と東アジア反日武装戦線の佐々木規夫を回収しました。捕虜としてそちらに連行致します』
「こちらイマヌエル。了解。気を付けて戻って来てくれ」
(かよ子・・・)_
「まきちゃん、大丈夫よ。それに他にもかよちゃんの友達とか他の領土攻撃班も次々とこちらに向かってるから味方は増えるよ」
奈美子が励ました。
「そうよね・・・」
管制室の地図を見る。多くの人間がヴィクトリア女帝が統治する区域に向かっていたのだった。
三河口は鎖鉄球を取り出して振り回した。風を巻き起こして真上から落ちてくるギロチンや槍、丸鋸などを全て吹き飛ばして回避させた。
「お、お兄さん、すごおい!」
冬田は感心していた。そして三河口は鎖鉄球を振り回しながら跳ぶ。跳ぶと共に飛翔した。炎の壁から上空に飛んで現れた。
「な、飛び上がって来ただと!?」
スターリンは驚いた。だが、構わず三河口に向けて巨大な刃を飛ばす。三河口が鉄球をスターリンの刃に飛ばす。鉄球と刃がぶつかり合う。そして刃が破壊された。
「何!?」
三河口が炎の壁の外に着地した。
「聞いた話では貴様は武器を持っていないはずだ!」
「そうだったっけな」
(あまりベラベラ喋ると攻略されやすいな・・・)
三河口は詳細は隠す事にしてスターリンに威圧の能力を放つ。さらにそれを鎖鉄球に流し込んで飛ばす。スターリンは鉄の壁で防御する。しかし、鉄球で破壊された。
(なんだ、此奴の鎖鉄球、あまりにも物凄い威力だ!!)
そして三河口は鎖鉄球でスターリンを襲撃する。
「くう、退散だ!」
スターリンは無数の壁を出して後退りする。それでも壁は鎖鉄球によって次々と破壊された。
「湘木、冬田さん!奴が逃げるぞ!!」
「何!?」
湘木は斧を水の能力に切り替え、作った炎の壁を消火させる。そして壁を出て大水を出し、波で鉄の壁を薙ぎ払う。しかし、スターリンの姿は何処にも見えなかった。
「逃したか・・・」
「そんなあ・・・」
「逃げても追ってる時間はない。先に進むぞ」
「は、はあい・・・」
三人は羽根に再び乗って進む。
スターリンは何とか命からがら逃げ出した。
「全く、何だあの男?鎖鉄球などいつ使い始めたんだ?」
スターリンは息を切らしていた。
「兎に角レーニン様に連絡だ!」
スターリンはトランシーバーを取り出す。
「こちらスターリン!」
『こちらレーニンだ。どうかしたのか?』
「今剣を奪って行った連中と遭遇した!一人は能力だけで道具を持っていないと聞いたが違った。鎖鉄球を使っていやがる!」
『鎖鉄球だと?』
「ああ、それで命からがら逃げるのがやっとだった!」
『そうか、一旦休むが良い』
「ああ、それで作戦を立て直させてもらう」
通信を終了させた。スターリンは戻る。
「あなた!」
「ああ、わが愛しきエカチェリーナよ。今戻ったぞ」
エカチェリーナが迎えに来ていた。
「良かったわ。もう会えないかと思うと心配で慌てて援護に行こうと思っていたの」
「そうか、ありがとう。だが、私と戦った男は非常に厄介な奴になっていた」
「何ですって!?私、その者が憎いわ。殺してしまいたいほど・・・」
「ああ、今度は一緒に行こう。その小僧を殺しにな。兎に角今は休ませてくれ」
「ええ、疲れていらしてますからね」
スターリンとエカチェリーナはお互いキスしながら自身の住処へと戻った。
赤軍の和光晴生、岡本公三、片岡利明、大道寺あや子はある館に到着していた。
「ヴィクトリア女王様。只今和光晴生、岡本公三、片岡利明、大道寺あや子、護衛の為に到着致しました」
「宜しい。杖の所有者達よりも先に来てくれて嬉しい限りだ。そろそろ昼食時に入るだろう。我が息子が足止めをしているが突破には時間がかかるし、もしかしたら全滅させているかもしれない。少しの間だが寛ぐが良い」
「はっ、ありがたきお言葉」
四人はテーブルのある部屋に入り、食事のもてなしを受ける。
「はて、俺の能力を複製して使った佐々木が捕まったそうだな。それも一緒に行動してたジャコバン派の独裁者もやられたとか」
「ああ、それに西川もやられちまったのか」
「つまり敵の本部にまた行って助けに行かなきゃいけないのかしらね」
「チッ、面倒くさいこと位になっちまったな」
「佐々木は東アジア反日武装戦線の仲間だ。どうしても奪い返したい」
「だが、奴らは交渉として交換を突き付けるはずだ。強行で入って突破するしかないはずだ」
「そうだな。まあ、今はここに攻め込む連中を返り討ちにしてそれはこれから考えよう」
かよ子達は羽根で上空を進む。
「はあ、すげえ恐ろしい感触がしてきたぜ」
「ああ、俺もだ」
見聞の能力を持つ大野や関根は胸騒ぎと共に恐ろしい気配を感じるのだった。
「つまり、ヴィクトリア女帝が占領し、統治している区域に突入したという事であろう」
「ここが・・・!!」
かよ子は目的地に辿り着いたと察した。
(私の杖はこの町にある・・・。何が何でも取り返す!!)
かよ子はアルフレートが持っていた短刀を見る。その短刀は杖を取り返す為の手がかりになるかもしれないと思い持ち続けていた。
「山田かよ子」
かよ子は石松に呼ばれた。
「え?」
「前に名古屋の地で重信房子が最上位の道具・剣を使用できていたのを覚えておるか?」
「あ、うん・・・」
赤軍の長と遭遇した日。それはクリスマス・イブであり、合唱コンクールに臨んだ日でもあり、名古屋でさりの護符が狙われた日でもあった。
「奴等はその杖の能力をその短刀に分け与えた可能性があるかもしれん。他にも似たような道具があるかもしれぬ事を頭に入れておけ」
「そうだね・・・。これ、私に使えるかな?」
「解らぬ。だが、試してみても良いかもしれぬな。それが戦いに役立てるならば杖を取り返すまで使えばよい」
「うん!」
「あ、皆見て!」
のり子の人形が指を差す。
「あの巨大な建物。きっとあれがヴィクトリア女帝の家よ!」
かよ子はその場に巨大な城があるのを確認した。
「あれがヴィクトリア女帝の屋敷!」
かよ子はそこに杖があると確信した。
後書き
次回は・・・
「女帝の要塞へ」
遂にかよ子達藤木救出班はヴィクトリア女帝のいる屋敷の区域に到着した。そしてすみ子達組織「義元」、そしてその他の領土攻撃班の者達もその付近に集まって行く。杖を奪還する為の本当の熾烈な戦いが始まる・・・!!
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