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おっちょこちょいのかよちゃん

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237 杖と似た短刀

 
前書き
《前回》
 かよ子は杖を取り返すべく西の方角へと進んでいた。一方、赤軍や東アジア反日武装戦線の者達も杖を取られまいと迎撃に動き出す。かよ子は火山の多い場所に辿り着いた時、アルフレートという者の軍が襲い掛かる。苦戦するかよ子だったが、援軍としてラクシュミーと大阪の女子大生達が駆け付けた!!
 

 
 三河口は湘木や冬田と共に杖の所有者の加勢の為に突き進む。
「あ、そういえばあ」
「ん?」
「あの剣なんだけど、なんでクリスマス・イブの日に赤軍の女の人は使えたのお?」
「これはおそらくだが、戦争主義の世界の支配者が剣を赤軍にも使えるように細工したんだろ。だからって誰もが使える訳ではないが」
 以前三河口は異世界の剣の奪還に成功し、本部へ輸送している時、冬田に剣を使用して戦えばいいのではと指摘された事があった。だが、彼が剣を振ろうとしても手を火傷させただけだったので彼には使いこなせないと言う事も証明させていた。今はさりの護符で出して貰った鎖鉄球を借りの武器として所持している。その鉄球も万能で大きさを一気に縮めてポケットにしまう事が可能だった。
「・・・ん?」
 三河口は見聞の能力(ちから)で不穏な気配を感じていた。
「俺達の所にまた新たな敵が来ている」
「何!?」
 三河口は武装の能力(ちから)で防御した。
「俺達の首を取りに来たのか?」
「ほう、すぐ気付いたか」
 そこに敵はいた。
「貴様だな。剣を持っていった泥棒は」
「泥棒は赤軍の連中だろ。あの剣は元々平和主義の世界の物だ。剣だけじゃない。杯も、護符も、杖もだ」
「ふ、それは昔の話だ。今すぐ剣を持って来い。それかここでこのスターリンの裁きで死ね!」
 スターリンは鋼鉄のギロチンを出して三人を襲う。
「きゃ、きゃああ!来ないでええ!!」
 冬田は喚きながら羽根から金属の槍で迎撃する。だが、ギロチンは呆気なく弾き返す。だが、三河口や湘木の武装の能力(ちから)でそのギロチンを防御した。
(厄介な相手だな)
「三河口、こいつ厄介かもな」
「ああ、長期戦になるかもしれん」
 三河口と湘木は杖の奪還に出遅れる事を懸念していた。

 フローレンスは項羽の軍と合流し、東アジア反日武装戦線の佐々木を引き渡された。
「この者が東アジア反日武装戦線の佐々木規夫ですわね」
「如何にも。それでは我々はあの者達の後を追う」
「ええ、お気をつけまして」
 項羽の軍は安藤りえの救出に動く者達を追ってその場を去った。フローレンスも本部へと戻る。
「やれ、関係者二人を新たに捕虜にしましたが、交換条件など向こうは認めません筈ですね・・・」
 そしてフローレンスはある人物に連絡を入れる。
「武則天。こちらフローレンスです」
『ああ、フローレンス。あの笹山かず子という娘とはついこの前合流したよ。私の部下を帯同させた』
「ありがとうございます。上手く行きます事を祈りますそれでは」
 フローレンスは通信を終了させ、本部へと戻る。

 かよ子達の援護に現れたのは嘗て共闘したラクシュミーの軍勢、大阪の大学生の上市明日香と高田あやだった。
「皆、大丈夫なん?」
「は、はい!」
「皆、かかるぞ!」
 ラクシュミーの兵達がライフルを持ってアルフレートの軍を襲撃する。
「な、う、動けん!」
「貴様らの動きは一時的に拘束させて貰った!お前らもやれ!」
「おう!」
 石松達が羽根から降りて攻撃にかかる。大政が槍を投げ、兵達の身体を次々と貫通させた。そして次郎長や小政、関根などが次々となぎ倒す。
「私も行くで!」
 高田が刀を振るい、光の龍を出現させた。
「この、これでやられてたまるか!」
 アルフレートは強引にラクシュミーのライフルの呪いを打ち破る。
「切り札を使わせて貰うぞ」
 アルフレートは短刀を取り出した。
「喰らうが良い!」
 短刀から竜巻が巻き起こされる。
「な、あれは・・・!」
 ラクシュミーがライフルで、関根が刀で、更に他の者も迎撃態勢を取るが、強力すぎて皆纏めて吹き飛ばされる。
「いかん、纏めて抹殺されるぞ!」
「私が!」
 のり子が人形を利用して全員を羽根の上に瞬間移動させた。
「あの竜巻・・・。まるで山田の杖みてえだな!」
 大野はそう感じていた。
「杖・・・」
 かよ子はふと思った。確かに自分の杖でもあのような竜巻を起こす事は可能だ。あのアルフレートの短刀にも似た能力(ちから)があるのか。だが、風が吹いていた訳では無い。
「でも、あの人の短刀は私の杖と違って風がなくても竜巻を起こしてた。何かの物質に向けなくても能力を使う事ができるんだよ!」
 竜巻がまた襲う。
「こ、この結界がある限り安全じゃ!」
「いいや、この羽根ごと吹き飛ばす気だぞ!」
 竜巻は羽根ごと巻き込んだ。羽根ごと巻き込んでしまえば結界など無駄になる。
「後はあの結界を破壊すればいいのだな」
 アルフレートは自ら竜巻の中に入り、短刀を向ける。短刀から電撃が放たれる。
「これで羽根も黒焦げになれば結界も意味がなくなる筈だ!」
 アルフレートは羽根を発見した。電撃で羽根がやられる様を確認する。
「ふふ、皆、死んだか・・・」
 アルフレートこれで杖の所有者含めて全員始末は完了したと思い、竜巻も消してその場を去ろうとした。しかし、急に自身の身体が電撃でやられた。残った兵達も動けなくなっている。
「な、何だ!?」
 始末したはずの杖の所有者達は生きていた。かよ子の顔は今までにない恐ろしい表情でアルフレートを睨みつけている。
「その短刀、私の杖と似てるけど、何か関係あるの・・・!?」
「さあ、知りたきゃ、先に進めばよかろう。私を倒せたらの話だがな!」
 アルフレートは短刀でもう一度始末を試みる。だが、今度は短刀を弾かれてしまった。
「な・・・!?」
 アルフレートはなぜ短刀が弾かれたか確認する。かよ子から何らかの闘志が感じた。
「そうか、この小娘の能力か・・・!!」
 ラクシュミーがライフルを発砲する。光線が放たれ、アルフレートの胸が貫通された。そして高田の刀から七色の光が放たれ、アルフレートの兵達が倒されていった。かよ子は羽根を地上に降ろし、アルフレートへと向かう。
「杖はどうしたの!?」
「だ、誰が、言うか・・・」
「言わないと怒るよ!!」
「勝手に怒る、が、よい・・・」
 アルフレートはラクシュミーのライフルの光線が致命傷となったようで光と化した。
「そ、そんな!!」
 かよ子は情報が得られなかった怒りで地面を叩く。
「杖がどうしてるのか、もっと知りたかったのに!!この、馬鹿!!」
 次郎長が慰める。
「山田かよ子、この男は確かに死んだ。だが、手がかりは残っている」
「手がかり・・・?」
「あれだ」
 次郎長が指を差した先にはは先程かよ子の武装の能力(ちから)で弾いたアルフレートの短刀があった。
「この短刀が杖と似たような能力(ちから)を発していたようだ」
「ああ、関係があるかもしれんな。それにこの者はアルフレートといってヴィクトリア女帝の息子だ。この母君がそなたの杖を所有しているのかもしれぬ。奴の館に杖があるようだな」
「ヴィクトリア女帝・・・?」
「ああ、私にとっても憎き女王だ」
「・・・、そこに杖があるんだね」
 かよ子はラクシュミーの発言や長山が眼鏡で見た証言よりそのヴィクトリア女帝が杖を所持しているという答えが頭の中に浮かんだ。
「私、そのヴィクトリアって人の所に行くよ!そこで杖を取り返しに行くよ!」
「俺達も行くぜ!」
「うちらも手伝うで!」
「うん!」
 かよ子達は杖を奪還する為に目的地をヴィクトリア女帝の館へと定め、進む。

 三河口、湘木、冬田はスターリンとの戦闘を続けている。スターリンはギロチン飛ばしの他、巨大な丸鋸を飛ばして三人の首を撥ねようとして来る。
「武装の能力(ちから)だけじゃキリねえな!」
 湘木は斧に炎を纏わせた。そして自身らの周囲を炎で包み、炎の壁を作った。
「そんな物で守れると思うか!」
「冬田さん、お前も炎を出してくれ!」
 湘木は冬田に命じる。
「う、うん!」
 冬田は羽根から炎を出して炎の壁を更に厚くさせた。スターリンのギロチンや丸鋸を炎で防ぐ。そしてギロチンや丸鋸が溶け出した。
「鉄は焼かれると柔らかくなって強度が下がるんだよ」
「くう、耐熱性のある筈の我が攻撃が・・・!?」
 スターリンは自身の攻撃を防御されて愕然とした。
「だが、上は穴だな。そこを狙わせて貰う!」
「何!?」
 その時、三河口は閃く。
(『こいつ』を使う出番か・・・!!)
 三河口は鎖鉄球を取り出した。 
 

 
後書き
次回は・・・
「鎖鉄球の実力」
 ギロチンで猛攻撃して来るスターリンの前に苦戦する三河口、湘木、そして冬田。三河口はこれでは回避すらできないと思い、さりから貰った鎖鉄球を出して反撃を試みる。そしてかよ子達はヴィクトリア女帝の屋敷のある区域へと侵入する・・・!! 
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