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IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス

作者:ハト胸
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つもる話は昼食で!

 
前書き
相川拓夢
 16歳、黒髪に青い瞳。
 先日行われた、一年一組による織斑一夏クラス代表就任パーティにおいて、インタビューを決行。
 その際、彼の口から驚くような言葉が飛び出した。
 なんと想い人がいる様子なのである。
 その報告に学園が揺れた。交友関係の広い彼のターゲットは誰なのか、予想がつかなかったからだ。
 引き続き、詳細を調べて行きたいと思う。 

 
 「さぁて、飯食いにいこーぜ」

 俺は授業が終わると直ぐに、清香を飯に誘った。
 もともと聞きたいこともあったし、何より約束だからな。

 「うん、いこっか!」

 こうして昼飯を一緒に食べるのは、今回が初めてなわけじゃない。
 大体は一人でのんびり食べたり、乱入してきた人と一緒にってのが多いけど、たまにこうして清香と食べることもある。
 夕飯は大体一緒かな。その後勉強教えてもらったりするから、どうせなら一緒に飯を食べようってことになるから。
 一夏が移動する時は大名行列みたいに後ろに女子の列が出来るんだけど、俺の場合そんなことはあんまりない。最初はあったけどな。

 「さって、と。清香は何食べる?」

 ちなみに俺は蕎麦って決めている。最近麺類に嵌っていて、昨日はうどんだったからな。
 清香は食券販売機の前で睨めっこしている。どれにしようか考えているんだと思うけど、時折にやけてるのは何でだ?

 「じゃあ・・・これ、にするよ!」

 「ん?」

 決まったみたいだ。指差してる先には、日替わりランチ洋風の文字。
 値段はわりとリーズナブルで、俺も前食べたことある。
 今日は野菜中心メニューのようだ。

 「オッケー。じゃ席とっててくれない?」

 「まっかせてよ!席取りマスターの私の力を見せてあげるっ」

 すたたたー、と駆けてく清香。にしても、せきとりマスターって・・・。関取って考えると可笑しいわ。相撲取りかってな。

 そんなくだらない事を考えていると、料理が出来たようだ。
 俺も清香のもヘルシーメニュー。うむ、昼はこの位が丁度いいからな。

 「お~い、拓夢君こっちこっち!」

 「おう!今行くわ」

 なんか最初の日を思い出した。あの日もああやって、清香が席の場所を教えてくれたんだっけか。思えばそれが切っ掛けだったもんな。

 「ほいさっと」

 「わぁ~!今日の洋風あたりかも!」

 「そだな。そのグリルチキンとか旨そうだもんなぁ」

 「一口あげよっか?」

 「ん、いいのか?じゃーもらう!」

 「はい、あーん?」

 「あ、あーん」

 ぱくっと、フォークの先についている肉を頬ばる。
 濃厚なソースに絡んだ鳥のあっさりめな肉汁が溢れて口の中を満たしていく・・・。
 あぁ、美味いわぁ・・・・。

 「ふふっ、拓夢君顔が緩みきってるよ?そんなに美味しかったの?」
 
 「あぁ・・・。これは美味い。清香も食べた方がいいぞー・・・」

 「うわぁ、本当に美味しいんだね。・・・じゃ、じゃあ失礼して」

 「美味いだろ?」

 「・・・美味しいよぉ、このトリ凄く美味しい!」

 「だろだろ?」

 「うん!なんで拓夢君がドヤ顔なのか分からないけど、とにかく美味しいことに間違いは無いよ」

 これなら俺も毎日食べたくなる味だなと思いながら、蕎麦をすする。
 ちなみに蕎麦を音を立てて食べるのはマナー違反、という国の子もいるので気にして音は控えめだ。
 いや、この汁も美味いなぁ。ほんのりとした酸味がアクセントになってて、麺の味を更に生かしてるって感じだ。
 さすがIS学園の食堂。全国から腕利きの料理人を集めているだけの事はある。

 「ねね、拓夢君のお蕎麦もちょーだい?なんかおいしそうだし、見てたら食べたくなっちゃうよ!」

 「おっけー。ほれ、お食べなさいな」

 「ではでは、お言葉に甘えまして」

 はい、あーん。ぱくっ、もぎゅもぎゅ。といった効果音がつきそうだな。
 食べやすいように少なめに麺を取って、汁にくぐらせてからあーん。
 熱い麺じゃないので息をかけるのは必要ない分恥ずかしさは幾分か抑えられる。といっても、全方位から向けられる興味の視線がハンパじゃないんだけどな。
 ちなみに、この食べさせあいってのも初めてじゃないんだ。
 前に一度弁当作ってみたことがあって、そん時に教室でやったのが最初。
 あの時は大変だったわ。クラスの子が私も~って来て、結局俺の弁当消滅したからな。
 まぁ次の日に清香がお詫びって作ってきてくれた弁当が美味かったから良しとする。

 「あー、この蕎麦も美味しいねぇ・・・。IS学園の良い事って、美味しいご飯が食べられる事だと思っちゃうくらいだもん」

 「それ分かる。こんだけ美味いと、外食とかで微妙な感じにならないか心配だわ」

 「うわ、そうなったら悲惨だね。やだよ、楽しいデートが食事で盛り下がるとか・・・」

 「そうだよな、やっぱりデートだと・・・ってデート?」

 「ん?・・・ああっ、な、なな、なんでも無いよ!もし、そういう事があったらって、ね?」

 「お、おぉ。そうだな・・・。んでも、もしそうなら弁当とかの方がいいかもなぁ」

 「お弁当?・・・拓夢君は、お弁当の方がいいの?」

 「そりゃな。男たるもの、女子からお弁当作ってもらって嬉しくない奴はいないってな。だから、まえ作ってもらった時は嬉しかったし」

 「そ、そうなんだっ。また、気が向いたら作ってあげるよ?」
 
 「おおっ、そりゃ良いな!そん時は頼むよ」

 「まっかせてよ!」

 ずぞぞーっと蕎麦をすする。
 と、ここで入り口で話す一夏と鈴。その後ろから箒とセシリア含む一組女子がぞろぞろと来ていた。

 「あ、そう言えばさ。拓夢君とあの子ってどういう関係なのかな?」

 「あの子?あぁ、鈴の事か。アイツとはなんつーか、親友って感じかな。小学校何年の時だったか覚えてねーんだけど、転入してきたアイツと揉めてさ。んで、その後仲直りして親友になったって感じかな」

 「それって、なんかセッシーの時と似てるね」

 「んん?そう考えてみれば、確かに」

 あれ?俺って意外とワンパターン?
 一夏と話したのも席が前後だったからだし。清香ともなんだかんだで席が前後だから話しやすかったんだし。
 うわっ、小学校から成長して無いのか俺!?

 「ちょっとへこんだ・・・」

 「ええっ、どーして?」

 思わずテーブルにぐだった。
 だってな、友達のできかたが小学校から何も変わってないんだぞ?
 なんかこう、成長してないみたいで凹むじゃん。

 「何こんな所で寝てんのよ?」

 「おい拓夢、それ行儀悪いぞ」

 と、頭の上から声がかかる。この声はー、清香じゃねーな。
 返事するのも億劫だけど、しゃーなし。一夏と、久々の親友だからな。

 「・・・おう、鈴と一夏じゃん。なに、二人仲良くお昼ですか?後ろに背後霊が沢山ついてきてるからお祓いして来いよ」

 「うわっ、拓夢の面倒くさいモードだ。コイツ一回これなると本当、面倒くさいのよね」

 「まぁ気にしないほうがいいんじゃないか?あ、清香。ここ座ってもいいか?」

 ちらりと視線を向けると、一夏が清香の隣に座ろうとしていた。おい馬鹿駄目だ。

 「アホ一夏、お前は俺とチェンジ。清香の隣は俺だかんな・・・」

 「あー、そっか。はいはい、じゃあ交換しようぜ」

 動くのが億劫だけどしゃーなし。一夏に清香の隣はやらん。お前に惚れたらどーすんだよ。責任取れないくせに惚れさせんなアホ。
 
 なんか清香の顔が赤いな、熱か?

 「清香、どーしたん?調子悪いのか?」

 「・・・えっ、そそ、そんなことないよっ!ほら、平気平気!」

 「んー、ならいっか。まぁ調子悪い時は言ってくれるもんな」

 「うん、その時はちゃんと言うね」

 「ほーいよ」

 こういう所が良いんだよなぁ。変に気を使ってやせ我慢されるよりも、ちゃんと言ってくれた方が嬉しいし。

 「てかさ、あんた達どーゆう関係なの?」
 
 ずずいっ、と身を乗り出してきた鈴。
 ちなみに席は、俺と清香が壁側で隣同士。鈴が清香の前に座ってて、一夏が俺の前に座っている。だから鈴は、丁度テーブルの真ん中あたりに身を乗り出してることになるな。

 「どーゆう関係?・・・あー、言われて見ると難しいな。でも、ただの友達って言うわけじゃないのは確かだぞ」

 「ふふーん。そっかそっか、いやぁ拓夢にも春が来たのねぇ」

 「なんだそれ、婆くさいぞ?」

 「ばばっ!?・・・ってまあ良いわ。今のあんたに何言っても暖簾に腕押しだもんね」

 おお、いつの間にか日本の諺を身に付けてやがる。やるな、鈴。

 「拓夢にとってタダならぬ関係ってことは、あたしにとっては友達ってことね。ねえ、たしか清香だっけ?あたしの名前は凰鈴音よ。これからよろしくね」

 「あ、はい!えと、私の名前は相川清香です!よろしく、鈴ちゃん」

 「相川っ!?え、なになに?もうそんな仲なの?苗字が同じって・・・」

 「おいおい、落ち付けよ鈴。清香と拓夢はたまたま苗字が同じってだけだぞ?」

 「そ、そうなの・・・。うわー、てっきりもう結婚してんのかと。って、ちゃんと考えればこの年じゃありえないもんね、あー早とちりかー」

 「けけ、結婚!?そ、そうか・・・。結婚しても苗字は変わらないのか。それはそれでラッキーかも」

 「ん?なんか言ったか?」

 「ひゃっ!べ、別になんだでもないよっ」

 そうなのか?なんか小声で言ってた気がするんだけど・・・。
 まぁ小声で言うくらいなんだから聞かれたくないんだろ。追求すんのも面倒くさいし、はぁ、だるいなぁ・・・・。

 とまぁ、鈴と清香の顔合わせも終わったところで。仲良く話し始めた二人を見ながら、俺はこのだるさに身を任せて目をつぶるのだった・・・・・・。





 IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニットストラトス
                      第28話 つもる話は昼食で!





 「拓夢君、行くよっ!」

 「おう、まずは旋回からな」

 「はーい!」

 放課後。俺と清香はアリーナにいた。ISの訓練をするためだ。
 今日は清香の飛行訓練の続きである。なかなか上手く操作できてなかったみたいだったけど、ちょっとコツを掴んだらしく、少し前から安定して浮かぶ、直線に飛ぶっていうのは出来るようになっていた。

 俺はそれを下で見ながらアドバイスを少し言うってスタンス。
 俺の隣では、一夏が箒とセシリアに教えてもらっている。というか、箒もISを装備しているってことは申請通ったんだ。
 ちなみにISの申請は面倒くさい。しかも上級生が使いたがるのでコッチに回ってこない事が多い。これがクラス代表者とかなら優先的に回してくれるんだけど、清香も箒も一般生だからな。
 
 だけど、清香は他の子に比べて使用頻度が多い。それは何故かって言うと、俺が先輩に頼んで空きが出たら直ぐに教えてもらっているからだ。これも交友関係を広げていたお陰ってな。
 新聞部の黛先輩とも和解した。そのお詫びとして、三日間連続で訓練機の貸し出し許可を譲渡してもらったのだ。

 「おし、いい感じだぞ。後は集中を切らさないで、スラスターの制御を調節しながら動きを変えてみてくれ」

 「う、うん!やってみる!」

 今、清香が使っているのはラファールリバイブ。モードはマニュアル。
 はいそこ、鬼畜とか鬼教官とか言わない!これも彼女の事を思ってなんだからな。
 オートとマニュアルの切り替えは意外と簡単だから、ちょっとした時間でも直ぐ出来る。
 だから清香の特訓には全部マニュアル制御でやってもらってるんだ。
 その方がコツを掴んでから飛びやすいし、なにより精密な操縦が可能になって臨機応変に戦えるようになるからだ。
 清香自身、代表候補を目指しているらしいから丁度良いかもしれない。

 ぐんっと急カーブから直線飛行。速度を緩めないで旋回。そこから上昇して、PICを切り自由落下。地面にぶつかる3m手前でPICを復活させて地面と水平飛行。
 それらのメニューを、清香は着実にこなしてきている。仕上がりは上々だな。

 一夏のほうを見ると、なにやら模擬戦をやる様子。
 おっと、これはいい機会って奴だな。

 「清香、ちょっと降りてきて!」

 「ん?わ、わかった!」

 清香に降りてきてもらって、一緒に一夏達のところへ。

 案の定、どっちが一夏と戦うかで揉めていた。一夏もまたかよって顔をしてる。

 「おう一夏、苦労してんな?」

 「一夏君お疲れ様」

 「ああ、拓夢と清香か。またこれだぜ。練習も上手く行かないし、ちょっとな・・・」

 やはり、上手く行ってなかったか。だがそれでは困るんだ。クラス代表として鈴に勝ってもらわにゃあかんのや!

 「一夏君、諦めちゃだめだよ!みんなのフリーパスが懸かってるんだからね!」

 清香も同じ思いらしい。ならばここは・・・。

 「はいはい、ストップだ二人とも!」

 「な、なんですの拓夢さん!?」

 「た、拓夢!?今はお前の相手をしている暇は・・・」

 「・・・二人とも、このままだと一夏に愛想つかされるぞ?」

 「「・・・・・・っ!!?」」

 効果はてきめん。争っていた二人は、まるで早朝のグラウンドのように静かになった。
 
 「いいか、お前等が争うことで一夏の練習時間が削れる。さらに、日々の特訓で上手く行かないことに焦れている一夏はそんなお前達を見たら、どう思うかな?」

 「ま、まさか・・・」

 「頼りない、と思うのだろうな」

 「その通りだ。いいか、練習ってのは個人に合わせた方法が必要なんだ」

 驚愕、といった表情を浮かべた二人にゆっくり語り聞かせる。
 後ろでは一夏が飛行の秘訣を清香から聞いている所だ。

 「まず、お前等は自分の理論をそのまま一夏に押し付けていないか?」

 「そ、それは・・・そうかも知れませんわね」

 「私もそうなのか・・・」

 「ああ、確かにそれで分かるやつもいるかも知れない。だが、一夏はそうじゃないんだ。言ってたぞ、最近伸び悩んでいるってな。あと、俺に教えてくれって来たこともあった」

 「それは本当か!?」
 「それは本当ですの!?」

 教えて欲しいって言ってきたのは事実だ。だけどまぁ伸び悩んでるは俺の作り話ってな。
 こう言うのは二人の意識改革をしなきゃだめだから、多少の嘘は目をつぶってくれ。

 「本当だ。・・・おいおいそんなに落ち込むな。まだ終わったわけじゃない。だから、今からちょっとしたアドバイスをするぞ」

 ちょっと間を置いて、二人の反応を見る。よしよし、聞く気になってんな。

 「まず箒だ。箒は行動的な感覚派、つまりフィーリングで伝えようとするから失敗してるんだ。自分の中にあるイメージを、一夏に分かりやすいように伝えるには、共通のイメージがあるといいぞ。例えば、剣道に置き換えてみるといい。そうすれば分かりやすくなるはずだ」

 「そ、そうか・・・。私と一夏の共通点かぁ」

 なんでにやける?まぁ共通点があるってのはいい事だもんな。にやけとけ。

 「次はセシリア。セシリアは緻密な計算と高度な知識に基づいた完全理論派。それをそのまま一夏に伝えても、馬鹿で知識も偏りがあるアイツのは伝わらないぞ?例えるなら、英語がイマイチな奴に英語だけで何かを伝えようとするような感じだ。だから、ここは一旦日本語に置き換えてやるんだよ。一夏はどっちかと言うと感覚派だからな。詳しく説明するよりは、言葉だけじゃなくてイメージも加える。さらに実際にどんな感じか見せてやった方がいいと思うぞ」

 「そうでしたの・・・。言葉だけじゃなくイメージ、それと実践」

 セシリアは真面目な顔で考え始めた。まぁ、コイツの場合頭がめっちゃいいから直ぐに出来る様になるだろ。

 「そこで一つ提案だ」

 「なんだ?」

 「なんですの?」

 「さっき一夏と戦うってことで揉めてたよな?だからここは、新たに清香も追加して2対2でやらないか?」

 これが俺の本当の狙いってな。清香にも実践を経験して欲しいし。

 「いいですわ!箒さん、どちらが一夏さんと同じチームになっても恨みっこなしですわよ!」

 「勿論だ。拓夢に言われて分かった、私達が争ってるだけでは一夏は強くなれないとな。一事休戦だセシリア、今日のところは一先ず」

 やれやれ、やっと仲良くなりましたか。
 二人ともなんでか知らんけど名前で呼び合うようになったし、結果オーライ?

 「一夏!清香!模擬戦やるぞー!」

 その後俺は審判に徹し、チームを変えて三試合行った。
 終わってから模擬戦の反省会をして、有意義な訓練になった。
 訓練機を借りれるのはあと二日。その間に一回は、清香と戦ってみたいなと思った一日だった・・・・・・。 
 

 
後書き
鈴と清香がフレンドになりました。
これで清香は鈴から拓夢の昔話を聞けるようになったとさ。
後半は、箒とセシリアの教育方針の改善回。
原作で余りにも不憫な一夏への救済措置ですよー。
最後、模擬戦は書いてないですが。要望があれば書こうかなと思います。 
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