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IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス

作者:ハト胸
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相川清香の悩み!

 
前書き
相川清香
 15歳、紫色の髪に少し明るめな同色の瞳。
 午後八時にアリーナ付近でのベンチで、相川拓夢の頬にキスをしたのを目撃されている。
 また、彼が暴露した事実はこの人物に当てはまる可能性が高い。
 引き続き調査を実行する。 

 
 「こ、これはどういう事なの・・・ッ」

 清香の目の前には一つの新聞があった。壁新聞と言われるそれは、この学園の新聞部が発行するものであり、学生の関心を集めているものである。
 その一面を飾っていたのがこれだ。

 IS学園に激震走る!!相川拓夢に思い人発覚か!?

 でかでかと本人の写真を記載したその見出しは、多くの学生の目を引きつけていた。
 記事には一夏がクラス代表に就任したことも載っていたが、それ以上に拓夢の記事には話題性があった。
 それもその筈。相川拓夢とは世界で二人しかいないIS男性操縦者の片割れであり、多数の女子を交友関係を持つ、所謂話しかけやすい男子なのだから。
 織斑一夏も社交的であり、会話をしやすいという面では同じであるが。現在彼には専用機持ちであるセシリア・オルコット及び、篠ノ之束の妹である篠ノ之箒がマークしているため話しかけずらい。
 ネームバリューの大きい二人は、いかにIS学園の女子であっても太刀打ちしにくい相手といえるからだ。

 その点、相川拓夢にはそのような相手は居ないとされている。
 これは学園全体に広まっている噂であり、信憑性は高いと思われる。
 だが、事情を知るものからすれば(主に一年一組の面子)これは真っ赤な嘘であることが分かる。
 何故なら彼には既にかなり親しい人物がいるからだ。
 その名前は相川清香。同じ苗字を持つものである。そう、壁新聞を眺めて呆然としている彼女だ。
 
 朝に拓夢が登校して来てからずっと、それこそ夕食後の自由時間まで共に過ごしている彼女は、その他大勢に比べてかなりリードしているといえる。
 放課後に時間ギリギリまでISの練習を一緒にしていたことは、既に噂されている事実だ。

 だがしかし、近すぎて気が付かないことがあるように、清香自身まだリードしているといった自覚は無い。故に、壁新聞を見て驚愕の表情を露わにしていた。

 (前聞いた時は、好きな人なんて居ないって言ってたのに。あれは嘘だったのかな?それとも、好きな人ができた・・・?)

 そこまで考えて、清香はハッとする。

 (そうだ、セッシー!昨日の飛行実践でも仲良く話してたし、楽しそうに一緒に空飛んでたし・・・)

 拓夢が手を振り替えしてくれたことや、その放課後に一緒に訓練したことは頭から抜けている。
 思い返しているのは、拓夢がセシリアと話す場面だ。

 (そう言えば、拓夢君って他の人と比べてなんかセッシーと仲良いし。最初あんなに険悪だったのに、すぐ仲直りしたみたいだし・・・。まさか、代表決定戦で好きになったのかな?)

 彼女の頭の中は勘違いで埋まっていった。

 「ああもうっ、考えてもわっかんないよー!!」

 (昨日、頑張ってキスまでしたのにー)

 キスの事を思い出して、顔を赤くしながら。清香は今日もクラスの扉を開けるのだった。





 IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニットストラトス
                      相川清香の悩み!





 「おっす清香」

 「お、おはよう拓夢君っ」

 「ん?どーした、なんか変だぞ?」

 「へ、変!?そそ、そんなことは無いよ!うん、なんも可笑しいとこ無いもん・・・」

 「そっか・・・?まぁ、清香がそう言うなら気のせいだったか」

 逆になんで拓夢君はそんなに平然と、いつも通りに挨拶とかしてくるのよ~!
 も、勿論挨拶してくれて嬉しかったけど、けど!
 もうちょっとこう、私の顔見て赤くなるとか無かったのかなぁ・・・・。
 それとも、あのくらい拓夢君にとっては大したことじゃないのかな?

 考え出すとキリが無かったから止める。
 これ以上アレコレ考えても、いい想像は出来そうに無いから。

 でも、変化に気が付いてくれたのは嬉しいかも。
 それが顔が赤くなったりとか外見的な事じゃなくて、動揺っていう内面的なことだから余計に。

 こ、これっていつも話してないと気が付かないことだよね。

 ちょっとは、他の子に比べてリードできているんだろうか?心配になる。
 大体拓夢君は人気者過ぎる!
 一夏君も格好良いからって理由で人気だ。でも、拓夢君の人気はそれ以上なんだもん。
 一番の理由は話しやすいって所。
 いろいろな部活に顔出したりしてたし、先輩にも気さくに話しかけたりしている。
 ハンドボール部の先輩も、拓夢君なら大人っぽいし彼氏としてもいいかもっ、とか言ってたし。

 はぁ、ライバルが多いよぉ・・・。

 「なあ知ってるか、今日から二組に転入生が来たってさ」

 「え、転入生?この時期に・・・?」

 「まぁ時期的にはあれだろ、入学に間に合わなかったとかそんなんじゃね?」

 「そ、そっか。考えてみればそうだよね」

 「そんでさ、その転入生ってのが代表候補らしいんだわ」

 「ええっ、代表候補生!・・・って、転入してくるくらいだから当たり前じゃない?それって」

 そう、転入生って聞いた時から代表候補生ってのは想像できていた。
 そんなことが出来るのって、バックに国がついてないと無理だもん。
 でも、拓夢君が転入してきた女の子が気になってるってのはいい気分じゃない。
 一途だって事だから、その子が好きなわけじゃないんだろうけど、それでも好きな人の口から他の女の子が気になってるみたいな事は聞きたくないのが本音だ。
 出来ることなら、私だけを見てほしい。ってこれは独占欲強すぎかな?

 「あー、なんか機嫌悪い?」

 「べ、別にそんなことないけど・・・」

 「んー・・・。あ、もしかして女の子の日とか?」
 
 「え・・・・。ち、違うよ!何でそうなるの!?大体、そうだとしても言うわけないでしょ!?デリカシーが足りないよっ」

 「ご、ごめんごめん」

 「もうっ、本当に悪いと思ってるのかなぁ」

 拓夢君は結構色んな事をズバッと聞いてくる。
 いつもはそれが嬉しいけど、今日は駄目。女の子に対して生理ですかって、普通聞かないことだよ!もう、全く拓海君は・・・。

 「悪かったって思ってるよ!ほら、この通り」

 「ん~、しょうがない。許してあげよう」

 「あー、よかったぁ・・・。お詫びとして、昼飯おごるわ」

 「う、うん。じゃあお昼は一緒に食べよっか」

 「おう。っていうか、今日はもとから誘おうと思ってたしな」

 「ええっ、そうなの!?」

 「ちょっと話したいことも───」

 と、もうちょっとで何かいいことが聞けそうだったのに。ここで乱入者が入ってきた。

 「その情報、古いよ。二組も専用機持ちが代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 教室の入り口のところ。つまり私の後ろから声が聞こえてきた。拓夢君はその子のほうを見て、なんか嬉しそうにしている。
 むぅ、・・・なんかやだな。

 私はその子の正体を確かめようと振り返った。
 日本人?ううん、似ているけど多分違う。中国人かな?
 長くて艶々した黒髪を二つに縛ってるその子は、ちょっと気取った感じで一夏君に指を突きつけている。言ってたことからして、多分宣戦布告だと思う。

 「お~いリンリン!なに格好付けてんだよっ」

 「そうだぞ鈴、似合わねーぞ」

 「リンリン言うな!って何、拓夢もこのクラスだったの?てか一夏、似合わないとか失礼じゃない!せっかくの登場が台無しでしょうが!」

 え・・・・。思わず口から疑問の声が漏れる。
 拓夢君、この子知ってるの?
 彼の口調は弾んでて、なんか嬉しそう。まるで親友と話す時みたいなテンション。
 私は思わず、その子を少し睨んでしまった。

 「ん?なんか用・・・って、あんたもしかして」

 それが分かったのか。ツインテの子は私の事を見て、そして何かに気がついたような顔をした。

 「わ、わーわー!鈴ちゃんストップストップ!」

 「鈴ちゃんって。・・・ははーん分かったわ、そっかそっか、そうだったのか~」

 「すみません鈴さん、勘弁してください」

 何かを言おうとした、その子の言葉を遮るようにして拓夢君が立ち上がる。
 何?何を言おうとしたの?
 
 「どうしよっかなぁ・・・・・あ」

 「何をしている?」

 「ち、千冬さん・・・」

 「早く自分のクラスへ戻れ」

 「は、はい!・・・一夏、それに拓夢も!また後で来るからね、逃げないでよ!」

 その子は織斑先生を見つけると驚いて、そして凄くまずいって顔になった。
 それで走って戻っていった。

 でも、さっきの話はなんだろう?たしか、私の顔を見てしたり顔をしていたような・・・・。

 「ねえ拓夢君、あの子何を言おうとしてたのかな?」

 「い、いやっ何のことかな?!っていうかここじゃ話せな───」

 バシンバシンバシンバシン!!!
 
 とんでもない衝撃と一緒に、頭に鋭い鈍痛、遅れて目の前に一瞬星が見えた。
 叩かれたのは、私と拓夢君だけじゃなかった。
 クラスの皆、あの子の事が気になるらしくて一夏君に詰め寄っていたのだ。
 織斑先生の愛の出席簿は、今日も等しく振り下ろされました。

 「話すのを止めんか、馬鹿共」

 ごめんなさい織斑先生。
 私は結局、何のことを言おうとしてたのか聞けずに授業が始まってしまった。

 その後、集中できなくて何回も注意されたのは言うまでも無い。 
 

 
後書き
ひさびさの清香さん視点でした。
そして新聞登場!これからも事有るごとに登場させていけたらと思っています。 
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