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おぢばにおかえり

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第七十一話 詰所の中その二十九

「映画の上映もやったりするし」
「色々とイベントをですね」
「しているの」
 おぢばがえりの時とかです。
「色々とね」
「そうした階ですね」
「ええ、ただ七階だから」
 この詰所の最上階です。
「来るだけでも大変なのよね」
「僕としてはいい運動ですが」
「足が悪い人にとってはね」 
 もうそれこそです。
「ここまでは大変よ」
「だからエレベーターもあるんですね」
「ええ、ただうちの詰所のエレベーターは古いから」 
 もうかなりの年代ものです。
「沢山の人が一度には乗れないわよ」
「そこが問題ですね」
「そうなのよね」
 少し困ったことにです。
「あって凄く助かってるけれどね」
「それでもですね」
「かなり古いわよ」
 このことは否定出来ません。
「新しいものにしたくても」
「中々難しいんですね」
「色々事情があってね」 
 その事情はお察し下さいというところです。
「まあそのうちにと思うわ」
「僕が高校卒業するまでは」
「ううん、ほぼ無理ね」
「ほぼですね」
「その頃まではね」
「そうなんですね」
「そうよ、ただね」
「ただ?」
「新一君は使わないわね」
 私はこのことも言いました。
「エレベーターは」
「いや、行くとしたら二階が大抵ですから」
「歩いて行けるからなのね」
「僕はもう事務所に行けば」
「いいの」
「そこに先輩がおられますから」
 私を見て嬉しそうに笑って言ってきました。 
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