麗しのヴァンパイア
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第四百八十一話
第四百八十一話 連絡が来て
使い魔達は日本文学の読書を楽しみながら着物の完成を待っているカーミラに対して報告してきた。
「着物が出来たそうです」
「あと神戸で注文していた履きものもです」
「着物に合わせた下駄も」
「それも出来ました」
「そう、着物ならね」
それを着るならとだ、カーミラは述べた。
「履くものはね」
「草履ですね」
「若しくは下駄ですね」
「そちらになりますね」
「草履にしようと思ったけれど」
その履きものはというのだ。
「ここはもっと贅沢にね」
「下駄ですね」
「それにされましたね」
「上等の木を用いた」
「それにされましたね」
「日本人のこうした時の趣向は素晴らしいわ」
カーミラは使い魔達に悠然とした微笑みで話した。
「実にね」
「左様ですね」
「香木を使っていたそうですね」
「下駄に」
「あの高価なものを用いるとは」
「実に贅沢です」
「そして優雅です」
使い魔達も口々に言う。
「かつて大名がしたそうですね」
「仙台藩の」
「そして悠然と遊びに出たとか」
「何という見事なことか」
「流石に贅沢が過ぎて隠居させられたわ」
そしてその話は伊達騒動と呼ばれ歌舞伎の伽羅先代萩の題材となった、『伽羅』と書いて『めいぼく』と『先代』と『仙台』を合わせるそのセンスも見事であろうか。
「けれどね」
「実にですね」
「まことに優雅ですね」
「日本のそれがありますね」
「ええ、流石に香木は使わなかったけれど」
カーミラは自分の下駄の話もした。
「私の下駄もね」
「はい、見事な木を使っています」
「京都の着物に相応しい」
「最高のものです」
「それも受け取るわ」
下駄もというのだ。
こう話してまずは下駄を受け取り代金を支払った、そしてその後で使い魔達を連れて京都に行くのだった。
第四百八十一話 完
2022・6・19
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