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麗しのヴァンパイア

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第四百八十話

                第四百八十話  漱石の文章
 カーミラはまた一冊漱石の作品を読んだ、こちらも優雅に読み読破してからそれを置いて使い魔達に話した。
「今度は三四郎を読んだわ」
「これまた代表作ですね」
「その作品も」
「そうですね」
「ええ、今度は文章について思ったわ」
 そちらにというのだ。
「漱石のね」
「文章ですか」
「そちらに思われましたか」
「この度は」
「読みやすいわ」
 漱石のそれはというのだ。
「日本語は他の言語に比べて書く人それぞれの文体が出るけれど」
「単語と単語の組み合わせではないですからね」
「英語や中国語と違い」
「言うなら文字が連なって文章になっていますね」
「単語それぞれが組み合わさってでなく」
「そうした言語だから」
 それでというのだ。
「他の言語に比べてね」
「それぞれの人の文体が出る」
「そうなりますね」
「それが日本語ですね」
「それでね」
 日本語のそうしたことを考えてというのだ。
「漱石の文章を読んでいくと」
「どうなのでしょうか」
「先程はこころを読まれましたが」
「その文章は」
「読みやすいわ、この読みやすさもね」
 このこともというのだ、事実夏目漱石の文章は一世紀以上経ても尚かなりの読みやすさを感じさせるものだと言われている。
「長所よ」
「漱石のですね」
「そうなのですね」
「太宰治も読みやすいけれど」
 この作家もというのだ。
「漱石もよ」
「読みやすいですか」
「そうした文章ですか」
「日本語の勉強にもいいわ」
 こうまで語った。
「本当にね。ではもう一作ね」
「読まれますか」
「今宵は」
「そうするわ。読書に乗ってきたわ」
 こう言って今度は坊ちゃんを読むのだった、ただ読むだけでなく人間を見て文章を見て楽しんでいた。


第四百八十話   完


                  2022・6・12 
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