横浜が急に
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第一章
横浜が急に
根室千佳は塾の夏期講習の時に同じ塾のクラスメイト達にカラオケに誘われた時にやや複雑な顔になって答えた。
「モディーディッグ行くのよね」
「うん、八条カラオケもいいけれどね」
「あそこにしよう」
「あそこ最近サービス凄いっていうから」
「元々設備もいいし安いしね」
「そのサービスいいっていうのは」
千佳は友人達にその顔のまま応えて言った。
「やっぱりね」
「あそこの店員さん横浜ファンだからね」
「それも昔からの」
「しかも熱狂的な」
「だからよね」
「横浜もファンの人達もいいのよ」
別に嫌いでないというのだ。
「けれど横浜が勝ちまくってね」
「最近強いわね」
「本拠地で滅茶苦茶ね」
「ヤクルトとの差かなり縮めたわね」
「嘘みたいにね」
「お陰でカープ今四位よ」
このことは少し残念そうに述べた。
「巨人じゃないからかなり気分的に楽でも」
「横浜強過ぎて」
「お陰でカープは四位」
「今一つ振るわない」
「それでそういうのね」
「ええ、けれどカラオケ好きだし」
千佳はそれ自体はよかった。
「それにあのお店もいいしね」
「じゃあ行く?」
「今度の日曜ね」
「皆で」
「お母さんに言ってね」
何処に行くかをだ、こう話してだった。
千佳は友人達と共にその店に行った、すると。
店のカウンターは横浜一色だった、多くの花と横浜の主力選手達の写真が飾られていてそうしてだった。
本拠地連勝記録を祝う言葉まであった、千佳はそのカウンターを見て言った。
「これが巨人だったら私一瞬で切れてたわ」
「まあ巨人だとね」
「千佳ちゃんだったらそうなるわね」
「私達も怒るけれど」
「千佳ちゃんは特によね」
「横浜ならいいわ、けれどね」
千佳は友人達に話した。
「物凄く喜んでるわね」
「そうよね」
「今横浜強いからね」
「本拠地で無敵よね」
「鬼みたいに強くなったわね」
「それも急に」
「世の中そうしたこともあるのね」
千佳は今度はしみじみとした口調で述べた。
「急に強くなるって」
「そうよね」
「このままいったらひょっとしたら」
「優勝とかもね」
「あるかもね」
「まあそれは流石にないでしょ」
千佳は横浜優勝は否定した。
「確かに今ヤクルト追い上げられてるけれど」
「チーム全体が絶不調に入って」
「七月からね」
「それで負けが続いてるけれど」
「それでもなのね」
「流石にゲーム差が開いてるし」
現実としてそうなっていてというのだ。
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