ドリトル先生のダイヤモンド婚式
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第八幕その四
「こうなのかな」
「前に出なくてね」
「最初からないって諦めてる」
「これがもどかしいよ」
「私達がいるだけで満足だって」
「そういう問題じゃないんだけれどね」
「全く以てそうね」
お静さんもそれはと言います、
「先生は駄目過ぎるわ」
「恋愛のことはだね」
「何度も言うけれどね、そのお人柄でね」
最初にこれがあってというのです。
「しかも紳士で公平で温厚なのよ」
「尚且つちゃんとお仕事あってね」
「しかもお家もあって生活にも困らないだけのお金がある」
「それでもてない筈ないのに」
「お仕事やお家とかお金とか即物的なことを抜いても」
「それでも僕に恋愛の縁があるかっていうとね」
またこう言う先生でした。
「本当にね」
「ないんだね」
「そうだよね」
「全く、本当にそう言うから」
「先生は困るのよね」
「僕達も」
「そうなのかな、しかしね」
これがとです、先生はまた言いました。
「どうしても僕には思えないからね」
「やれやれだね」
「僕達も結構背中押してるけれど」
「トミーも王子も」
「それでお静さんもなのに」
「これは困るよ」
「本当にね」
「ははは、僕は現在でとても幸せだからね」
実際に今こう言った先生でした。
「これ以上は求めないよ」
「別に誰も犠牲にしないから」
お静さんはその先生の幸せについて言うのでした。
「先生の幸せは」
「皆が一緒にいてくれて学問が出来てね」
「いつも美味しいものを飲んで食べられる」
「しかもこんないいお家もあって生活にも困らないんだよ」
ここまで揃っていればというのです。
「一体ね」
「何が必要だって言うのよね」
「そうだよ、これ以上はないまでに恵まれているから」
だからだというのです。
「もうね」
「幸せは求めないのね」
「そうだよ」
実際にというのです。
「僕はね」
「それでいいのよね」
「そうだよ、満足しているよ」
「やれやれね、それで美味しいものを食べても」
先生のそちらの楽しみについてもお話します。
「高いものを好んでじゃないのよね」
「日本はあちこちに美味しいものが一杯あるからね」
「普通にスーパーや商店街で買って」
「それであちこちのお店に入って食べてね」
「満足よね」
「贅沢もね」
こちらのこともというのです。
「別にね」
「興味ないわね」
「京都の料亭に行くとか」
「そうしたことはよね」
「行ったこともあるけれどね」
そうしたお店にです。
「けれどね」
「それでもよね」
「そうしたお店に積極的に行くことも」
これもというのです。
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