恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその十
「絶対に」
「まあ見たところね」
その真吾の顔まで見て話す徐晃だった。
「あんた実際に嘘吐くの下手みたいね」
「よくそう言われます」
「何となくわかるわ」
真吾のそうしたことは実にわかりやすかった。それでだ。
徐晃も言う。そしてだった。
あらためてだ。目を鋭くさせて彼に告げた。
「じゃあ。そろそろね」
「はい、いきますね」
「一気に攻めるわ」
こう言ってだった。二人を先頭にしてだ。
敵の左翼に切り込む。その隙ができた場所にだ。
この切り込みが効いた。戦局はさらにだった。
連合軍に傾いた。それを見てだ。
司馬尉は歯噛みしてだ。こう妹達に言った。
「すぐに左翼に行きなさい!」
「はっ、はい!そうしてですね」
「左翼に来た敵軍を」
「この場所からは見えなかったわ」
彼等は港にいる。櫓にいる孔明達とは違う。だから陣全体が見えなかったのだ。
それで左翼のことに気付くことが遅れた。それでだった。
そこを衝かれてだ。戦局が彼女達にさらに不利になったのだ。
それを見てだ。彼女はさらにだった。
「左翼の、いえ周りの天幕なり何なりを焼き払いなさい!」
「そうしてですね」
「見晴らしをよくされるのですね」
「そうよ、これ以上こんなことはさせないわ」
物陰に隠れて近寄られ攻められることはだというのだ。
「絶対にね」
「わかりました。では火矢を使い」
「すぐに焼き払いましょう」
「急ぎなさい、左翼もね」
また妹達に告げる司馬尉だった。
「さもないとここでの戦いは」
「敗れますね」
歯噛みする司馬尉とは対象的にだった。于吉はだ。
冷静にだ。こう述べたのだった。
「危ういです」
「そうよ。今何とかしなければ」
「はい、では左翼には妹さん達に行ってもらい」
「周りを焼き払うわ」
「クリスさんを使えればよかったのですが」
「あの子は今は向こうの連中と戦っているわ」
そうした意味でだ。足止めを受けているのだった。それに加えてだ。
司馬尉は上を見上げてだ。忌々しげに言うのだった。
「しかも。妖術すらもね」
「まあそれは言わないと言うことで」
「わかっているわ。それにしてもここまで私達を苦しめてくれているのは」
「それだけあちらには人物が揃っているのですね」
「特に今は」
敵の後方の櫓を忌々しげに見た。そこにいるのは。
「あの小娘ね」
「軍師諸葛孔明ですか」
「鳳統、それに徐庶とね」
「只でさえ天下無双のだというのに、一人でも」
「それが三人になるとね」
三人寄らばだった。最早だ。
「私の策や術すら破るというのね」
「ですね。それでなのですが」
「それで。何よ」
「我が同志左慈さんは前線に出ておられます」
まずはこのことを話す于吉だった。
「ですから私もです」
「前に出るというのね」
「はい、そうして宜しいでしょうか」
「私も出るわ」
眉を顰めさせてだ。司馬尉はこうも言った。
「前線自体が危ういしね」
「自ら指揮を執られてですね」
「そうよ。決めるのならここで決めるから」
決戦にするというのだ。この赤壁での戦いを。
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