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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその九

「彼等を向かわせましょう」
「えっ、そんなの用意してたの」
「こういうこともあると思っていまして」
 それでだ。そうした戦力を用意していたというのだ。
「ですからここはです」
「わかったわ。それじゃあ」
「はい、それで」
 こうしてだった。すぐに敵の左翼に予備戦力が向けられる。その指揮官は。
「よし、皆行くわよ」
「はい、わかりました徐晃将軍」
「それではいよいよですね」
「そうよ。出番よ」
 徐晃だった。彼女は兵達と共に天幕に隠れつつ敵の左翼に近付きだ。笑みを浮かべてこう言っていた。
「待ちに待ったね」
「まさか出番はないんじゃって思いましたよ」
「ずっと後ろにいましたから」
「けれどこれからよ」
 出番はだというのだ。それでだ。
 徐晃はさらに進みだ。共にいる真吾にも言った。
「あんたもやっと出番ね」
「はい、かなり嬉しいです」
「何かあんたって結構こういう位置にいるわよね」
「予備ですか?」
「ええ。何でかしらね」
「それね。俺も困ってるんですよ」
 本当に困っている顔で言う真吾だった。
「草薙さんにもよく危ないから下がってろとか」
「言われるのね」
「困った話ですよね」
「まあ何となくわかるけれどね」
 徐晃は斧を手にして彼に返した。
「あんたってそんな感じだから」
「やっぱりあれですか?火が出ないからですか」
「それと根っからのぱしり体質ね」
 見事なまでにだ。徐晃は彼の体質を見抜いていた。
「あんたいつも草薙さんに包とかお魚とか持って来いって言われるでしょ」
「ええ。元の世界の頃から」
「だからよ。余計にね」 
 こうしただ。予備扱いになるというのだ。
「二線級って感じでね」
「二線級って」
「私もまあ。先陣はね」
 徐晃本人もだ。困った顔で話すのだった。
「春蘭さんや秋蘭さんがされるし」
「所謂曹操軍四天王ですね」
「そう。近衛には琉流達がいるし」
 それで彼女はどうかというのだ。
「気付いたらこうしたらね。予備とか遊撃隊とかになってるのよ」
「何かそう言うと俺達似てますよね」
「あはは、そういえばそうね」
「俺なんてあれですよ。挑発なんかですね」
 何故かここでメモ帳を出す真吾だった。
 そうしてだ。こう言うのだった。
「これ出してええと、次はなんて」
「もう如何にもって感じね」
「そうなんですよ。ネタって感じで」
「けれどあんたの声はネタの人じゃないじゃない」
「バリバリ格好いい美形ばかりですからね」
 今度はこうした話になっていた。
「狼のシャクティの人にはじまって仮面のライトニング何とかとか炎の紋章の紅の剣士とかやっぱり仮面のアカツキに乗ってる人とか」
「いいキャラばかりじゃない」
「それで俺だけこうなんですよ。酷いですよね」
「完全に差別ね」
「そうですよ。俺だって彼女いるのに」
「嘘でしょ」
 徐晃は真吾の今の言葉は即座に否定した。
「あんたに彼女って」
「俺がもてないっていうんですか?」
「っていうかもろに舎弟キャラだった」
 これ以上はないまでに真吾を表した言葉だった。
「それで何で彼女なのよ」
「信じてくれないんですね」
「けれどあんた嘘は言わないわよね」
「怪談は好きですけれど嘘は嫌いです」
 このことははっきりと言うのだった。
「子供の頃からそれだけは言うなって」
「言われてるのね」
「ええ、ですから嘘は言いません」
 それは確かにだと言う真吾だった。
 
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