恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十四話 黄龍、娘を救うのことその六
「僕もいるんだ。だからここは任せて」
「楓・・・・・・」
「姉さんだけがしょい込むものじゃないんだ」
楓もだ。こう言うのだった。無論彼も己の剣を構えている。
それでこう言ってなのだった。
「僕達は姉弟なんだから」
「だからなのね」
「そう、兄さんに僕もいるんだ」
楓は刹那を見据えつつ背後にいる姉に話す。
「だから一人で背負い込まなくていいんだ」
「姉弟だから」
「そう、だから」
こう言ってだった。彼も姉を護ろうとする。丁度三人が一方に来てだ。三方には。
示現と虎徹、翁、嘉神がそれぞれついた。そうして言うのだった。
「巫女が犠牲になることはない」
「左様、これだけの力が集ればじゃ」
「常世を封じることができる」
刹那を見据えながらだ。三人も言うのだった。
「常世はこの世でも現れない」
「それは我等が防ぐ」
「貴様をここで倒してだ」
「言うものだな」
その刹那がだ。彼等に言葉を返した。
そうしてだ。その闇の目で静かに話すのだった。
「四霊は常に俺の邪魔をするのか」
「それが我等の務めじゃ」
こう返す翁だった。白髪と髭の奥の目が鋭い。
「貴様の闇を封じることがな」
「生憎だが俺を封じることは巫女の犠牲なくしてはできない」
刹那はあえてだ。月の責任感を煽り立てる言葉を言ってみせた。
「それを言っておく」
「それはどうやろな」
ここで来たのはあかりだった。楽しげに笑ってこの場に来た。
そうしてだ。また言うのだった。
「うちもおるで」
「貴様は」
「陰陽師や。一条あかりや」
「そうだったな。貴様は」
「そや。思い出したみたいやな」
顔は笑っていたが目は笑っていない。そのうえでの言葉だった。
「あんたみたいな奴等の天敵や」
「その貴様も来たか」
「俺もな」
今度は十三だった。彼はあかりの横にいた。
「まあこれだけいれば何とでもなるな」
「数は力や」
あかりはそれを根拠にしていた。
そしてそのうえでだ。刹那に言うのだった。
「あんたを滅ぼせばそれで常世はつながらんからな」
「そのことは知っていたのか」
「気付いたんや」
知っていたのではなかった。それだったのだ。
そのことを言ってだった。あかりと十三もだ。
刹那を囲む。そうして彼を封じようとかかっていた。
そのうえで戦いがはじまろうとしていた。だがそこにだった。
もう一人来た。それは。
白い衣、修験者を思わせるそれに赤と白の髪の男だった。顔には黒い髭がある。その彼を見てだ。
月、既に光を消していた彼女はだ。その目を大きく見開いて言った。
「まさか。貴方は」
「月、それに守矢と楓もいるな」
仮面の男は彼等を見て言うのだった。
「三人共いるな」
「お父様もこの世界に」
「御前達と同じだ。来ていたのだ」
声は微笑んでいた。優しい声だった。
その声で彼等に告げるその男を見てだった。
翁がだ。こう言うのだった。
「御主、ここに来た理由は」
「翁、久しいですな」
「そうじゃな。それで概世よ」
翁は彼の名を呼んだ。
「いや。黄龍か」
「どちらでもいいです。私がここに来たのは」
「子供達を助けたいのじゃな」
「そして常世を封じる」
その為にもだというのだ。彼はここに来たというのだ。
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