恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十三話 黄蓋、策を見破るのことその九
同じく跳んだ草薙がだ。朧車を空中で仕掛ける。
三連続の蹴りがクリスを襲う。しかしそれもだった。
クリスはその手で受け止め防ぐ。そして着地した時にだ。
「下です」
着地した草薙の足下を狙いだ。攻撃を仕掛ける。青い炎をその身にまとい。
そうして狙う。だがそれはだ。
草薙は防ぐ。かがみだ。
両者の攻防はまずは互角だった。そしてすぐにだ。
草薙は再び攻撃を加える。今度の攻撃は。
拳に紅蓮の炎をまとわせそうしてだった。
「ボディがらあきだぜ!」
拳を続けて繰り出す。それで防いだのだ。
しかしだ。それを受けてもだった。
クリスは退かない。それどころかだ。
彼も青い炎を繰り出す。赤と青の炎が激突していた。
その二色の炎の中でだ。クリスは言うのだった。
「僕としてはここでね」
「俺を倒してか」
「この陣を燃やしたいんだけれどね」
「悪いがそれは無理だな」
草薙は強い声でクリスのその願いを否定した。
「俺が手前を倒すからな」
「だからなんだ」
「あと手前はオロチにはさせねえ」
それも防ぐというのだ。
「諦めろ。それもな」
「諦めるって僕達の目的を?」
「そうだよ。俺は命までは取らねえ」
その考えはだ。草薙にはなかった。
「手前等が諦めるんならそれでいいからな」
「言うねえ。けれどね」
「手前は諦めないっていうんだな」
「うん、そうだよ」
その通りだとだ。クリスは悠然と笑って返す。
「何があってもね」
「なら仕方がねえな。俺もだ」
「やるんだね。闘いを」
「オロチは俺が倒す」
再びだ。その両手に炎をまとい言う草薙だった。
「この炎で払ってやる」
「草薙の剣。二千年前から同じだね」
「その剣がこの世界でも手前等を払う」
草薙の言葉は強い。その目も。
そしてその目でだった。クリスに再びだ。
闇払いを繰り出しそうしてだ。闘うのだった。
闘いは五分と五分だった。連合軍は強く数も多い。しかしだ。
白装束の者達は次々に上陸してきてだ。闇の中でだ。刺客の様に攻めてきていた。その彼等との戦いの中でだった。
命はだ。月に言っていた。
「彼はまだですか」
「はい、姿は見せません」
月は薙刀を振るいつつ彼を探していた。
「この戦いにも参加していることは間違いありませんが」
「そうですね。既に羅将神ミヅキは来ています」
見ればだ。ミヅキは天草と闘っていた。しかしだった。
月の探す刹那はだ。今は戦場にいなかったのだ。それで言う月だった。
「ですがそれでもです」
「見つければその時」
「今度こそ」
月の顔が強張る。決意によって。
「私がこの力で」
「ですがそれは」
「はい、お兄様達は仰いますが」
「それならです。軽挙は慎むべきです」
それは決してだとだ。命も彼女を止める。そうしてだった。
刹那を探していた。しかしだ。
彼の姿はまだ見えない。それで言うのだった。
「例え見つけてもです」
「私の命はですか」
「はい、粗末にしてはいけません」
命自身も言うのだった。彼女を止める為に。
「私もいます。ですから」
「ですからですか」
「守矢さんと楓さんのお話を御聞き下さい」
「そうするべきですか」
「この戦いでは多くの戦士達が集っています」
命が言う根拠はここにあった。
「貴女だけが背負うものでないのですから」
「私だけが」
「貴女は生きられます」
封じることによってだ。命を捨てることもないというのだ。
「私にはそれが見えます」
「私は、生きる」
「そうです。貴女の命は消えていません」
命も巫女だ。だからこそ見えるのだった。
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