身体が弱いと思っているから
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第一章
身体が弱いと思っているから
子供の頃何度か大きな病気をした稲田真礼垂れ目で色白で楚々とした顔立ちで黒髪を長く伸ばしている一五五程の背の彼女はよくこう言っていた。
「私身体弱いから」
「いつも気をつけてるのね」
「そうなのね」
「早寝早起きを心掛けてね」
通っている高校のクラスメイト達にもよく話した。
「ある程度身体を動かして」
「食べものにも気を使う」
「そうしてるのね」
「そうしてるの、ちゃんとお野菜もお肉も食べて」
弁当を食べながら話しているがトマトに鶏肉にほうれん草にデザートのオレンジがある。主食はご飯である。
「飲みものにも気をつけてるの」
「それでよく牛乳飲んでるわね」
「あと野菜ジュース」
「豆乳もね」
「そうしてね、ちょっと体調が悪いと思ったら」
その時はというのだ。
「すぐに寝る様にしてるの、あとお風呂もね」
「ちゃんと入って」
「それで身体も温めてる」
「そうしてるのよね」
「そうしないとね」
真礼は友人達に話した。
「私身体が弱いから」
「だからなのね」
「大変なことにもなるから」
「だからなのね」
「いつも気をつけてるの、今話題の予防接種も」
これもというのだ。
「ちゃんとね」
「受けてるのね」
「もう三度目だけれど」
「それもなのね」
「そうしてるわ、四度目も話になってるけれど」
これもというのだ。
「受けるわ」
「慎重ね」
「幾ら気をつけているといっても」
「四度目もなんて」
「だから身体が弱いから」
気をつけているというのだ、実際にだ。
真礼は三度目も四度目もその予防接種を受けた、そして。
その感染症にも細心の注意を払ってだった。
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