人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった
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40話 Step! ZERO to ONE
前書き
◯39話での変化
サウザー
ダークキバの紋章、ローズ・オクトパス・ライオン・消防車・キリンのフルボトル、ニュートン魂・ヒミコ魂・リョウマ魂・サンゾウ魂・ゴエモン魂・グリム魂のデータをサウザンドジャッカーに保存。
クローズ
才が改良したハザードトリガーを使用することで自身の上がりやすいハザードレベルをより急上昇させることがができる。
ガシィン!!
ビートクローザーの刃がサウザーの胸部を力強く斬り裂く。今までこんな展開が訪れるなど、少なくともこの世界の住人にはわからなかっただろう。
その圧倒的な力はサウザーに膝をつけさせるまでに追いやった。クローズは感情に身を任せて今を戦っている。それは圧倒的な力をトリガーを用いて引き出す事ができるが、同時にその引き金を引きかけているとも言い様だろう。
クローズは感収まらず、サウザーの首根っこを掴んで立てと叫ぶ。
だが———————————————
≪ジャックライズ!≫
近づき過ぎたがためにジャックライズの活動圏内に入ってしまう。興奮していた精神が特大の注射器のような痛みによって冷静になっていく。
「奴隷の分際でこの私に指図する権限などない————————!」
「グワァァァ!!!」
ジャックライズ実行による弱体化の隙をジャックリングが伸び切ったサウザンドジャッカーに斬り上げられ、腹を地面につける。
「最強のクローズの力を頂いた.................」
「何だと—————————!!」
「さて..................その身でじっくりと経験するといい。クローズか100兆%パワーアップしたサウザーがどちらが強いか...............勝負だ————————!」
≪JACKING BREAK!≫
クローズと同じ極熱を纏わせたサウザンドジャッカーを持って、クローズに迫ってくる。クローズもビートクローザー片手にサウザーへと距離を詰める。
先に先制攻撃したのはクローズ。だがその突進をはらりと躱し、極熱の刀身を打ち付けようとする。それもクローズが予め察知して同じようにはらりと躱し、顔面にビートクローザーを持っていこうとする。サウザンドジャッカーでその衝撃を抑えると同時に、柄でクローズの顔を殴る。
顔がサウザーの正反対を向く。すぐに向きを戻して斬り裂こうとするが、そこにはサウザーの姿はいない。ほんの一瞬で後ろに回り込み、その脇腹にミドルキックをお見舞いする。
押しやったクローズに追撃をしようとしたところ、《《最大で》》人間の1000兆%の動体視力を誇るサウザーの目にすら止まらなかった高速移動で後ろに回り込み、背中をビートクローザーで斬りつける。
だがダメージは微々たるもので、少しノックバックを喰らわせた程度にとどまった。クローズは再び背後に回って攻撃しようとするが、それをシャインクリスタが形成した防御壁が斬撃を防がれてしまう。攻撃に詰まったところにシャインクリスタがサウザーの攻撃をクローズに通す。
≪JACKING BREAK!≫
≪スマッシュヒット!≫
二方とも同じ蒼炎を纏った刀身で相手を斬り裂こうとする。その刀身は激しく燃え盛りながらぶつかり、両者ともノックバックを喰らうほどの互角だった。
「厄介ですねぇ.....................やはり君はあの時消しておくべきでしたよ。」
「うるせぇ!!まだ終わりじゃねぇ!!!!俺はお前に勝つまで、絶対に負けねぇ!!!!」
「そんな瞬間は訪れない。負けないのであれば死ぬだけだ!!!!!」
——————————————長い戦いは終わらない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「よし—————————あとはアンコールだけど................」
歓声がステージの幕が閉まった後でもこの耳に響いてくる。アンコールを誘導させるには、ライブが終わった時に終わったかのように見せないことだ。例えば『ありがとうございました』というところを『ありがとうございます』と言ったりとかそのような類いを行ったのだ。
ただ、それに本能的な物足りなさを観客が感じてくれるかどうか。最悪の場合、そもそもノリで歓声を上げているだけでライブに何のインスピレーションも感じなかったかもしれない。それはそれで、俺の責任でもあるのだ。
「才くん..............私たち...............」
「わかってる。ライブが人にどう思われるかはその人次第だ。」
「じゃあ..................」
曜が不安げな物言いになる。その不安が本来続けるべき言葉を奪ってしまう。
「アンコールが出ないってことは、その程度の評価だってことだ。でもな、お前らは楽しかったんだろ?ライブが最高に楽しめたんだろ?」
「うん!!」
「今までで1番楽しかったずら。ライブの時間がとても短かった...................それは楽しいって証拠だよね?」
「そうだな。ルビィ、花丸。お前らが楽しめたのならそれは最高最善のライブだ。」
「私も同感。私たちが今までやってきたライブってどこか堅苦しい————————プレッシャーが重くて、いつも楽しくなかった。でも今回のライブは楽しめた!!どこか胸にあったモヤモヤが全部スカッと消えちゃった!!」
「.................それがスクールアイドルの本髄なんだよ。それを理解して初めて、スクールアイドルとしての高みの第一歩を踏み出せる。これからなんだよ—————————」
「才さん...................!」
「俺だってどんなに完璧で《《完全無敵》》だって信じたい。実際そうなんだ。けど、失敗しないわけじゃない。もしアンコールの要求がなかったんなら—————————それは支える俺の責任だ。」
「それは違うよ!!」
自分に対してネガティブな発言をしたところで、このAqoursのリーダー 高海千歌が真っ先に反対の声を上げる。
「才くんはAqoursのヒーローなんだよ!?チカたちがこのライブまで辿り着けたのは才くんが居たからだよ!?」
「千歌の言う通りね。我が優秀なリトルデーモンが自分に自信を持てないなんてアイデンティティを見失ってるんじゃないの?」
「—————————————だな。俺はナルシストで完全無敵なゲーマーだったよ。そんな俺の思惑が成功しないわけ————————ないもんな!!」
そう声を高めた瞬間、その期待は裏切られなかったのである。
『アンコール』————————————そう何処からか聞こえてきた声が瞬く間に会場全体へと伝染していく。
悪意の伝染—————————そんなものとは正反対の物だと断言できる。
「これって————————!!」
「ほら、何ボーッとしてるんだよ。お前らを観客はお呼びだぞ。」
「「「「「「「「「うん!!!」」」」」」」」」
「このライブが終わったらパーティだ!!!」
「おー!!!!」
最後の声が誰かもわからないくらいに興奮していることが自分の今の鼓動で理解できる。
そして彼女たちは再び光のステージにその身を委ねる................!
Step! ZERO to ONE
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「お前ら如き——————————俺に勝てるわけがなかろう!!」
善戦を繰り広げていたスペクターとダークキバの鼓動にも駅から聞こえてくるビートが刻まれていく。そのビートに鼓舞されて、戦いのモチベーションが上がる。
ダークキバはまるまる2人が入りそうな紋章をシザースとボルキャンサーに付与する。その紋章は言わずもがなほぼ100%相手を拘束することができる。だが流石に2人の身体を自分側に持ってきて、紋章に戻すと言うのは不効率だ。
「このフエッスル...................使う価値はありそうだな。」
≪ボルキャンサー! 封印だ!≫
念動力のような物で契約モンスターだけをこちらに引き寄せ、首根っこを掴む。そこでシールフエッスルを発動させる。
この白いシールフエッスルは種族に対応した物を使わずとも、どんな種族———————ダークライダーであっても封印できる。その力は《《リリースフエッスル》》で使役可能である。このように戦いが厄介になったり、する相手には天敵ともいえるフエッスルである。
その例に漏れずボルキャンサーの肉体はシールフエッスル内にデータとして保存され、現実世界での肉体を失う。
「封印した................使役モンスターがいなくなったお前なんか手足を捥いだ蟹だ!!」
≪ウェイクアップ! ワン!≫
禍々しいオーラを右の拳に纏わせる。
そして左手の合図で紋章に流れる電流に苦しめられているシザースを念動力のような力でこちらに引き寄せ、その強力なパンチをそのメタリックオレンジの装甲を破壊した。
元がデータなのでその体はピクセル状になって消滅していった..................
———————————————
スペクターの方もG電王が度重なる近接戦法による圧倒的な力に疲弊してきているので、もう勝ち目はないと言っても過言でない。
ガンガンハンドのロッドがG電王の腹部に直撃、嗚咽をあげるような仕草をしている最中に顔面にそのロッドを打つける。
ここでコブラケータイをガンガンハンドに取り付け、打撃に近いものから完全な斬撃技に戦法を変える。G電王に銃撃をさせる暇もなく、その大鎌が猛威を振るう。その斬撃は地球上のほぼ全ての物体を斬り裂くそうだ。そのキャッチアピールに恥じない切れ味を誇っている。
もう一振り、左からフルスイングでその胸板を斬る。
「お前は俺には絶対に勝てない!!守るものがないお前には————————!!」
≪ダイカイガン! オメガファング!≫
≪パーフェクトウェポン!≫
両者必殺技を放とうとするのだが、その前にG電王はその必殺技によって展開できるバリアを張ってスペクターの攻撃を防ぎ、自分の攻撃を当てるという算段だ。一方のスペクターは特に対策もしていないようだが....................
ジャキンと爽快な音を立てて、斬撃はそのバリアを一刀両断しようとする。ただそのバリアを割るまでには至らない。ここままでは反撃を喰らってしまうのだが....................
≪マッスル化!≫
近くにあったエナジーアイテムを自身の大鎌に食わせ、その威力を増強した上でもう一度オメガファングを放つ。2度の必殺には耐えられず、その防壁を木っ端微塵に砕け散る。
トドメの一撃は至近距離でその体に死神の斜め線を刻み込む。
正義からの判決は————————————消滅。
———————————————
「ドリャ!!!ウラ!!!」
「フン!!」
再び変わった音色に体を委ねて戦う。竜介は心の中でアンコールが要求されたことを素晴らしく思いながらも、自分が称賛を送る状況でないことを思って戦いに集中する。
「君の強さは十分わかったよ。君の力など所詮分かる範囲の力だ。」
「じゃあそれはお前の思い違いだな。」
「そんな戯言を...............」
「お前俺は一歩ずつ—————————それでも何処までも............強くなる!!!そして勝ち続ける!!!!!」
『Step!』という単語が耳に入ったと同時にサウザーに攻撃を仕掛ける。そしてそれに続く、『いちに、いちに』と繰り返される言葉に合わせてワンツーパンチを繰り返していく。歓声がその声に合わせて高まっていく。その声が再びクローズのパンチを強くしていく。サウザーは振り払おうと思っても、気迫で負けていることで困難になっている。
『止まれ』という合図が何処からか聞こえてきたので、そこで最後のパンチをサウザーに喰らわせる。
「ハァハァ.................俺は!!!」
「—————————」
「たとえ俺が————————人間じゃなかってもいい。その心だけあればいい。誰かを守りたいと想う気持ちが..................テクノロジーを超える!!!!!」
「テクノロジーは絶対だ!!!気持ちをどう持っていても変えられない物というものがある!!!」
「俺が証明してやる.................!その想いってやつをな!!!!」
「話は聞き飽きた..............これで終わりだ!!!」
≪THOUSAND DESTRUCTION!≫
≪Ready go! ハザードフィニッシュ!!≫
レバーをいつもより多く回す。回せば回すほどクローズの体にマグマが行き渡る。ただ、それ以上の高温ということを考えるとマグマではなくエネルギーの塊なのだろうが。
クローズ、サウザーの両者とも大きく跳躍しその足をぶつけ合う。
流石はサウザーでキックの多彩さなのかスペックの異常な高さなのか、クローズを押し込んでその身体を地面に着かせようとする—————————が。
「負けられねぇ———————俺は..........この町で出逢った皆んなを————————守るんだァァァァァ!!!!!」
「何!?」
≪ボルケニックフィニッシュ!!≫
ドゴォンと音を立ててキック同士の戦いが終わる。結果は——————引き分け。押し返したもののサウザーのキックも喰らってしまい、変身解除に陥る。
一方のサウザーはクローズの勢いに大いに負け、その体は変身を解除すると同時に十数メートル離れた車に打つかる。
そこで事後ながらも仮面ライダーの装甲を纏ったままのダークキバとスペクターが膝やTシャツが破れかけた竜介の元へ辿り着く。
「何だと...........あり得ない。100兆%あり得ない。———————何故だぁ!!!」
「何故って.....................アンタが1人だからじゃないのか?」
「魁...............!」
「アンタは人間を人間として見れてない。アンタも、俺も、内浦のみんなも、みんな同じ人間じゃないか。ただそこに役職や与えられた名誉があるだけで、元は同じ人間だ。それをあたかも最初から運命が決まっていたかのように考えるアンタに————————仲間なんて現れるはずもない。」
「魁の言う通りだ。あいつらが.............この町の善意がある限り!!お前は俺に勝つことはない!!!」
「許さん.................絶対に許さんぞ!!!!!!!!私を辱めたということがどういう事か.............内浦を潰した時に味合わせてやる!!!!」
高級品であろうその黒スーツを惨めな服装へと変貌させた小原兆一郎は、何処かへと去っていくのであった........................
—————※—————
「入るぞ。」
「え?————————ああ、お前か。」
「お前とは.................また不遜な貴様に戻ったな。」
「バーカ。自分を偽ることにどれほど意識を集中させた事か。金輪際あんな口調にはなりたくないね。」
プレハブの出力室にある書類やら、荷物やらを整理しているところにやってきた来訪者。黒澤家当主、黒澤天青。立場的には明らかに目上の立場ではあるが、俺の口調はタメ口。そしてこんな忙しい状態にやって来たこともあって塩対応—————————といっても、もうやることは殆どこなしてしまったのだが。
「で、どうだった?スクールアイドルってやつはさ。」
「——————————別に貴様を評価するわけではないが.......................」
「その前置きは色々とキツイな。」
「悪くないものだな。スクールアイドルというものは。」
「そっか...............俺はそれを聞いても何も言えないな。実際、お前の心を微量なりとも動かしたのは他でもないお前の宝石たちの——————Aqoursだからな。」
「私はスクールアイドルというものは邪な物.................この内浦にあってはならない物。そう考えていた。だが、それは私の固定概念に他ならなかった。そんな物が文明というものを遅らせる足枷となる—————————我ながら恥ずかしいものだ。」
謝罪にも聞こえるその言葉に煩わしさも感じさせる。勿論、謝罪自体を否定しているわけではない。ダイヤやルビィが少しでもこの男に苦しんだのならば、それは大いに謝罪の余地がある。だが、その内容がスクールアイドルを信じられなかったということに対してであれば話は変わってくるのだ。
「お前が今、どんな想いを抱いているかは知らないけどこれだけは言っておく。スクールアイドルは《《運命を容易に変える》》。変化をもたらすんだよ。人の心にも......................大いなる運命であったとしてもな。」
「その内の1人が私だというわけか......................」
「ああ...........」
「それは———————私の罪だな。そしてそれを償うのも.................私の仕事だ。」
「——————————?」
閑話休題。次に何を話そうかということを無理くり探そうとするが、この人と話をすることと言えばサウザーにどう対処するかということになる。
今そんな話はしたくないのだが.............................と考えるうちに、一言挨拶を交わして、そのまま帰ってしまう。最後の面持ちにはどこか覚悟を決めたかのような.......................そんな顔が垣間見えた。
ガチャリ。またしてもプレハブのドアが開かれる。
「我が主人!」
「お、祝。今帰ったのか?」
「ああ、おかげさまでね。」
「祖父ちゃんから伝言は預かってないの?」
「————————伝言ではないのだが..................」
「?」
「少し《《アーク》》について教えてやってもいいと............!」
「!!!!!!!!?????」
深まる謎の..............紐が緩められる。
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