夢幻水滸伝

「そして降ればです」
「それでよしですか」
「戦われないですか」
「そうされますか」
「この浮島は普通に治められています」　
　蒲は兵達にこのことを話した。
「特に乱れることなく、浮島そのものが街であって」
「そして田畑もあって」
「普通に暮らしていますね」
「治安も悪くないですね」
「しっかりと治められていますね」
「これが悪質な賊なら成敗しますが」
　それでもというのだ。
「そうでもないので」
「だからですか」
「この度はですか」
「降ればですか」
「僕の勢力に組み入れ」
　そうしてというのだ。
「働いてもらいます」
「そうですか」
「命を助けるだけでなく」
「そうされますか」
「無駄な命を奪うことは禁物です」
　蒲は自分のその考えも述べた。
「それよりもです」
「その命を助け」
「そして働いてもらう」
「蒲様はそうしたお考えですね」
「はい、それでは」　　
　蒲は囲んでいる敵軍に降伏を勧めた、そしてだった。
　進退窮まった敵は観念しそれならとなってだった。
　蒲に降った、蒲は彼等を受け入れ引き続き浮島の統治を任せた。この浮島も勢力に入れてそうしてだった。
　蒲は江西省の統一をさらに進め遂にだった。
「そうですか、竜南もですか」
「降りました」
「こちらの使者の話を聞いてくれました」
「そうしてくれました」
「これで、ですね」
　蒲は官吏達の報に微笑んで述べた。
「江西省は統一されましたね」
「そうなりました」
「蒲様の下に入りました」
「全てそうなりました」
「左様ですね、ではです」
　蒲は官吏達に微笑んだまま答えた。
「以後はです」
「さらにですね」
「勢力を拡大されますね」
「そうされますね」
「いえ、まずはです」
　意気を見せる官吏達に落ち着いた声で述べた。
「統一した江西省を今以上にです」
「今以上に？」
「といいますと」
「内政に力を入れて」
　そうしてというのだ。
「豊かにします、それに僕は江西省の統一はしましたが」
「はい、ではですね」
「そこからですね」
「さらに勢力を拡大されますね」
「実はそこから先はあまり考えられないのです」
　こう官吏達に言うのだった。
「今は内政しか」
「そうですか」
「では勢力拡大よりもですね」
「内政ですね」
「そちらに力を入れられますね」
「治安をよくし」
　まずはそこからだった。
「交通や教育を整え産業を育成し」
「そうしてですか」
「そうしたことを整え」
「そしてですか」
「その仕事に専念して」
　そしてというのだ。