八条学園騒動記

「そうであるな」
「ええ、そういえば」
「そのじゃ」
「頭が九つある龍の形をしたロボットですか」
「それを考えておる」
　こう野上君に話した。
「今はな」
「それでそのロボットで、ですね」
「大暴れしたいのじゃ」
「そうですか」
「試しに気に入らん海賊共を襲って皆殺しにしてじゃ」
　あっさりと大量殺人を公言した。
「その後でじゃ」
「騒動をですね」
「さらに起こしたい」
「そうですか」
「連合軍の超巨大戦艦でも襲ってな」
「ゾロアスター級でしたね」
「あれは随分強いそうであるからな」　
　だからだというのだ。
「ここはじゃ」
「攻撃仕掛けてですね」
「戦ってな」
　そのうえでというのだ。
「騒動も起こしてじゃ」
「楽しまれたいんですね」
「うむ」　
　野上君に強い声で答えた。
「そうしたい」
「いつも通りですね」
「そういうことでな」
「じゃあ僕はいつも通りですね」
「助手として傍にいてもらう」
「わかりました、ただです」
　ここで野上君は博士に尋ねた。
「一つ聞きたいんですが」
「何じゃ？」
「博士の助手って代々いますよね」　
　野上君が尋ねたのはこのことだった。
「そうですよね」
「うむ、そうじゃ」
　博士もその通りだと答えた。
「定年まで働いてもらって年金も渡しておる」
「そうですよね」
「それがどうかしたのかのう」
「いえ、助手の人のお仕事って僕みたいに」
「わしの傍にいてもらう」
「製造や開発は全部博士がしてますね」
「わしの趣味じゃからな」
　それ故にというのだ。
「常にじゃ」
「そうしたものはですよね」
「全部わしがじゃ」
　博士自身がというのだ。
「全てしておる」
「じゃあ助手のお仕事は」
「わしの傍にいてもらうことじゃ」
「それでお世話したりですか」
「あと目付じゃな」
「目付ですか」
「代々の助手でわしの傍にいるという理由で処罰された者はおらん」
　博士は言い切った。