夢幻水滸伝
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第二百四十五話 財閥の依頼からその二
「財閥が傾くとそこに働いている人達も関連企業の人達も困りますね」
「連鎖的に」
「そして港で働いている財閥以外の人達も困ってますね」
「非常に。湊は財閥関連が殆どを占めていますが」
「それでもですね」
「漁師の人達も困っています」
彼等もというのだ。
「漁師の人達は財閥とは関係ないのですが」
「それでもですね」
「海に出られないので」
その為にというのだ。
「困っています」
「やはりそうですね、ではです」
「はい、それでは」
「すぐに湊に行ってきます」
こう言ってだった。
白はすくっと立ち上がった、そのうえで。
市長に暫しの別れを告げてだった。
港に出た、するとそこには実に多くの水棲モンスター達がひしめいていた。数だけでなく種類も多い。
その彼等を見てだ、白は。
術で空に飛び上がるとそこからだった。
己の神具である覇王弓を引き絞り己の気を矢として放ち。
モンスター達を倒していった、そして術も使い。
空を自由自在に飛びつつ倒していった、そうしてまた托間にだった。
港の海を占めていたモンスター達を全て倒した、倒されたモンスターの中には降った者達も多くいた。
港に平穏が戻った、このことに寧波の誰もが驚いた。
「凄いな」
「流石は星の方だ」
「あれだけいたモンスター達を瞬く間に倒したぞ」
「これで港から船を出せる」
「商売も漁も出来るぞ」
口々に言って空から港に戻ってきた白を歓声で迎えた、そしてだった。
その彼にだ、市長は言った。
「実は財閥の方からも頼まれていたのですが」
「その依頼をですね」
「見事果たして下さったので」
だからだというのだ。
「財閥の総帥から貴方にお礼をしたいとです」
「言ってきていますか」
「はい」
そうだというのだ。
「その様に」
「そうですか」
「それでどうされますか」
「では」
それではとだ、白は答えた。
「お願いします」
「それでは」
市長も応えてだった。
白は市長を交えて財閥が経営している飯店の中で総帥と会った。三人で飯店の中のレストランでだった。
食事を食べながら会ったが総帥は猫人の若い女だった、紅のチャイナドレス姿で出てきてそうしてだった。
彼と会ってだ、すぐにこう言った。
「この度のことは有り難うございます」
「いえ、礼にはです」
「及ばないと」
「拙者は星の者ですさかい」
それ故にというのだ。
「そんなことはです」
「いりませんか」
「はい、これで港は自由に使えますね」
「有り難いことに、主人も喜んでいます」
「ご主人もですか」
「実は私は妻で共に総帥となっていますが」
女は謙虚な物腰で話した。
「主人が第一です」
「そうでしたか」
「残念ですが今はこの港でモンスターに襲われて足の骨を折り」
それでというのだ。
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