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夢幻水滸伝

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第二百四十四話 上海を手に入れその十六

「そうしたいが」
「はい、それでは」
 白も頷いた、そしてだった。
 茶を一口飲んでからだ、施に答えた。
「これよりです」
「話してくれるか」
「そうさせて頂きます」
「ほなな」
「ただしです」
「ただ?」
「面白くないと思います」
 こう施に断りを入れた。
「拙者の話は」
「いやいや、そうは思わん」
「そうでしょうか」
「ここに至るまでそれなりの道のりがあったさかいな」
 施は白に笑って述べた。
「そやさかいな」
「それで、ですか」
「おもろないとはな」
 その様にはというのだ。
「ほんまにな」
「思ってないですか」
「そして聞き終わってもな」
 その時もというのだ、施は自分の茶を飲みつつ話した。茶の味だけでなく熱さと香りも楽しみながら話した。
「おもろいとや」
「思われますか」
「そや」
 こう言うのだった。
「絶対にな」
「笑える話とか興味を引く話でないとはです」
「自分ではそう思ってるんやな」
「そうですが」
「そう言う奴の話程面白い」
 施は笑ったまま言った。
「そういうもんや」
「そうですか」
「そやさかいな」
「これからですか」
「聞かせてもらうで」
 あらためて言うのだった。
「ほんまにな」
「それでは」
「そしてな」
 施は茶を飲みながら言葉を続けた。
「お茶とお菓子はな」
「どんどん出してもらうからな」
 周りに控える者達にもこう言った。
「頼むわ」
「わかりました」
「そうさせて頂きます」
 周りの者達も笑顔で応えた、そしてだった。
 中華風のカステラが出されライチや葡萄といった果物も出された、施はそうしたものを見ながら白に話した。
「ほなな」
「これよりですね」
「話してくれ」
「それでは、ではカステラを」
 中華風のそれを見て言った。
「いただきます」
「自分カステラ好きか」
「はい、寮でもです」
 起きた世界でのそちらでもというのだ。
「実は好きで」
「それでか」
「よく食べてます」
「そやねんな」
「ケーキもええですが」
「カステラ実際に美味しな」
「そうですさかい」
 だからだというのだ。
「ほんまにです」
「食べるな、今も」
「そうさせてもらいます」
 施に答えてだった。
 白は自分の話をはじめた、この世界に来て浙江省を統一するまでのことを。


第二百四十四話   完


                 2022・2・1 
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