展覧会の絵
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第五話 愛の寓意その一
第五話 愛の寓意
猛は学校の帰り道だ。共に帰っている雅にだ。こんなことを話していた。
「これから塾だけれど」
「そういえば猛は塾にまだ通っていたわね」
「うん、清原塾ね」
そこにだとだ。彼は少し微笑んで雅に答えた。
「まだ通っているよ」
「中学校を卒業してもなの」
「やっぱり勉強もしないといけないから」
その白い、かいわれを思わせる顔でだ。彼は話すのだった。
「だからなんだ」
「学校の勉強はお家でもできるでしょう」
「僕は塾で勉強する方が合ってるからね」
それでだというのだ。
「中学校を卒業してもね。父さん達に言ってなんだ」
「そういうことだったの」
「そうだよ。勉強の方は順調だし」
実は猛は成績優秀だった。それは雅もだ。二人の学校の成績はいいのだ。猛の場合は空手の方は今一つ伸び悩んでいると言われかねないところだが。
それでもだ。彼は今日はだというのだ。
「塾に行って来るよ」
「そうなの。それじゃあね」
「それじゃあって?」
「私もまた通おうかしら」
「塾に?」
「ええ。塾は中学校卒業でもう終わるつもりだったけれど」
雅も中学校時代は塾に通っていたのだ。ただし清原塾ではない。そして中学校卒業と同時にだ。彼女は塾も卒業したのだ。しかしだというのだ。
「けれど。猛を見てたら」
「また行こうって思ったんだ」
「ええ、それでね」
雅は猛にさらに話す。二人で下校しながらだ。
「塾は清原塾を考えてるけれど」
「僕と同じ塾に?」
「そう。猛とね」
「何で塾まで同じにするのかな」
「どうせ通うなら同じ塾の方がいいでしょ」
だからだというのだ。
「そう思ってだけれど」
「ううん、おじさんとおばさんがどう言うかだよね」
「お父さん達も勉強のことなら反対しないけれど」
「それに僕と一緒なら」
「余計にいいと思うから」
「じゃあ殆ど決まりかな」
雅の話を聞いてだ。猛は少し考える顔になって述べた。
「清原塾だね」
「凄くしっかりした塾って聞いてるけれど」
「うん、凄くわかりやすい教え方だよ」
その講義についてだ。猛は雅にはっきりと話す。
「だから僕も小学校から通ってるのよ」
「そうよね。私は中学までは違う塾だったけれど」
「それでも今度は何だ」
「清原塾にしたいわ」
また猛に話すのだった。
「じゃあ早速」
「僕今日塾だけれど一緒に来る?」
「ちょっと家に連絡してからね」
携帯を出してだ。そのうえでだった。
雅は携帯で家に連絡した。その返答は。
「今は見学だけならいいって。お母さんがメールくれたわ」
「そうなんだ。それじゃあ」
「ええ。まずはね」
見学することを決めたのだった。そうしてだった。
雅は塾の見学に言った。猛と同行して。そして十字を案内したあの親切な警備員に案内されて見学した。それが終わってからだ。
帰りも一緒になった。猛が塾の講義を終えた頃にだ。雅の授業も終わったのだ。その夜の帰り道にだ。
猛は雅にだ。こう尋ねた。
「どうだったかな。塾は」
「ええ。警備員さんに案内してもらったけれど」
「あの人にだね」
「とてもいい人ね」
「あの人はね」
警備員のことをだ。猛は笑顔で話した。
「凄くいい人なんだよ。親切でね」
「そうね。とても優しくて」
「その人に案内してもらったんだ」
「それで塾のことを見聞きしたけれど」
「それでどうだったかな」
今度は塾のことを雅に尋ねる猛だった。
「よかった?」
「塾のことよね」
「うん。合ってるかな」
「少し見学させてもらっただけだけれど」
こう前置きして話す雅だった。
「悪い感じはしなかったわね」
「中とか奇麗でしょ」
「そうね。清潔感があって」
雅は少し考える顔になって猛に答える。
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