恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十話 于吉、埋伏を作らんとするのことその七
「だからオロチの奴等には絶対に与しないさ」
「そのことだけは安心できるな」
キムもそのことについては山崎を信頼していた。
「御前は絶対にオロチにはつかないな」
「まあ今の生活も俺にとっちゃ地獄だがな」
言うまでもなく日々キムの修業と強制労働、そして体罰のフルコースを受けているからだ。
「けれどそれでもあの連中みたいな考えはないんだよ」
「そのことはわかりました」
「そういうことですね」
孔明と鳳統は山崎自身のことについて納得した顔で頷いた。
「オロチの血脈もその気が全くなければですか」
「効果がないんですね」
「そういうことだよ」
「ですがレオナさんは」
「どうなのでしょうか」
このことについてはハイデルンが話す。
「レオナの場合は無意識にある闘争心等も刺激されている」
「そしてそれも暴走させられる」
「そうなのですか」
「山崎と違いまだ精神的に幼い」
それもあってだというのだ。
「闘争心やそうしたものをコントロールできないのだ」
「それならどうすればいいのでしょうか」
「ここは」
「仲間だ」
ハイデルンは今度はラルフとクラークを見て述べた。
「この二人は過去もレオナの暴走を食い止めてきた。その説得と交流によってだ」
「それなら今回もですね」
「御二人にお願いしていいでしょうか」
「ああ、任せな」
「俺達が絶対にそんなことをさせないからな」
ラルフもクラークもだ確かな笑みで孔明と鳳統に答える。
「オロチの血は俺達が絶対に鎮めてみせる」
「何があってもな」
「ただしだ」
ここでまた言うハイデルンだった。
「オロチはまた出て来る。決戦の時にだ」
「そしてレオナさんの血を覚醒させ暴走させようとする」
「そのうえで私達を中から乱してきますね」
軍師二人もこのことを察して述べた。
「所謂埋伏の毒」
「レオナさんをそうしてきますね」
「それがわかっているのなら」
「そしてラルフさんとクラークさんの血を完全に静められるのなら」
こう考えていってだった。二人はある考えに至った。
そのうえでだ。こう一同に述べた。
「これは使えるかも知れません」
「私達にとって」
「というとどうするんだ?」
「作戦を思い浮かんだみたいだな」
「はい、思い浮かびました」
「賭けになりますが」
それでもだとだ。二人はラルフとクラークに答えてだ。そのうえで話すのだった。
「ここはあえて彼等にレオナさんの前にもう一度来てもらってです」
「仕掛けてもらいましょう」
「彼等がそれを作戦の軸の一つにするのならですね」
ウィップは話を聞いてこう述べた。
「それを打ち破るのですね」
「はい、そうです」
「それで彼等の機先を潰しましょう」
「そのうえで勢いに乗る」
ウィップは思案する顔で述べる。
「いい策ですね」
「確かに賭けです」
「ラルフさんとクラークさんがレオナさんの血を完全に抑えられるかどうかですから」
「それは任せてくれ」
「俺達は絶対にやるさ」
二人は確かな顔と声でこう答える。
「オロチの血なんかに負けるかよ」
「絶対に抑えてみせるからな」
「はい、ではお願いします」
「レオナさんの為にも」
「じゃあ策を破るか」
「そうするか」
ラルフもクラークも頷いてだった。こうしてだ。
オロチ達の策を破ることになったのだった。それを決めてからだ。
ハイデルンはレオナにだ。こう告げたのである。真剣な顔で。
「大丈夫だ」
「はい、私もまた」
レオナ自身もだ。思い詰めている顔だが確かな声で答えた。
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