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DOREAM BASEBALL ~夢見る乙女の物語~ 

作者:山神
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反撃開始!!

 
前書き
お久しぶりでございます(*- -)(*_ _)ペコリ
コンテストに向けた減量やその後のダメージにより更新が滞っておりました。
まだ本調子ではありませんが創作意欲が戻りつつあるので少しずつ更新していこうと思います。
間が空きすぎてキャラが崩壊してるところなどがあったらご容赦くださいm(__)m 

 
少し前……莉愛side

「ほぉ……次の回か」

打席に立つ優愛ちゃん先輩を見ながら莉子さんがリュシーさんに言われたことを伝えている。それを聞いた監督は不機嫌そうな表情を見せている。

「日帝大の時にも同じことをして来たのかはたまたうちにだけやってきてるのか……だがそう言うなら対策はできる」
「そうですよね」
「ただ……それをあのガキが狙っているとすれば……」

前の東英対常成戦にも絡んできたというカミューニさん。最後は点差がついちゃったけど、逆に言えばあれだけの実力差を覆すほどの頭脳を持っているのも確かだ。

「しかもあの打順でどうやって大量点を狙う?ランナーが溜まってから返せる奴がいないじゃないか」

次の桜華の攻撃は二番から。つまりすぐにクリンナップの三人が登場する。ただ蜂谷さんに一発を打つ力はない。そうなるとどう頑張っても3点差を逆転できるとは思えない。

「莉愛、先頭打者を確実に切れるように警戒しておけ」
「わかりました!!」
「莉子も内野の指示を頼む。どんな攻めをしてきても対応できるように柔軟性を持ちながらな」
「はい」

その間に優愛ちゃん先輩がショートゴロに倒れて攻守交代。私たちは守備へと向かった。

















(この回先頭の清原(キヨハラ)さんはカットマン。いや、女の子だからカットウーマンになるのかな?)

少し余計なことを考えてしまったけど頭を振ってその余計な考えを取り除く。バッターの特徴はしっかり頭に入ってる。

(優愛ちゃん先輩は浅めの位置にいてくれてる。仮にセーフティされても対応できる。となると重要なのは球数が増えすぎないようにすること)

追い込むことが出来れば瑞姫にはフォークがある。いくら技術があってもそう簡単にフォークを打つことは出来ないでしょう。

(まずは内角にストレート。カットマンに外のボールは思う壺だろうし、引っ張ってカットするのは厳しいでしょ)

内角に力のあるボールなら振り遅れれば空振りは避けられない。そう読みきってのストレート。これにバッターは前の回に続いてバントの構え。

「ストライク!!」

しかし結果は空振り1ストライク。バットで視界が遮られてしまい弾いてしまったがランナーがいなかったのでここは気にしないでおこう。

(めっちゃ監督見てるけど指示をしてるようには見えない。でもさっきからこのバントは一体何なんだろう)

ここまでセーフティに拘る理由がわからない。これだけしていればこちらの警戒が高まるだけだしそうなったらバントはしづらいはず。

(何か別に狙いがある?バスターとか?)

守備を前に引き寄せたいのかわからないけどクリンナップ以外は打球も早くない。バスターされても対応できる範囲のはず。

(ストレート。今度は外に外していこう)

同じ球種を続けるなら不用意にストライクは取りに行かない。それに仮に手を出してくれたらこっちのペースに持ち込める。

外にボール一つ分外したストレート。これにもバッターはバントの構えをするため内野は再び前に出るが、ここでバッターが思わぬ行動に出た。

コンッ

バント処理のために前に出てきた優愛ちゃん先輩の頭を越えるような強くて高いプッシュバント。しかもボール球にしようと外していたことが災いして相手に踏み込む要素を与えてしまった。

「ショートカバー!!」

打席ギリギリ足は残っているためこの打球は有効。急停止で打球を取りに来た優愛ちゃん先輩がジャンプするもののタイミングが合わず打球は彼女の後ろへと落ちる。

「チッ」

プッシュバントのため外野まで行くことはなかったが莉子さんも投げることは叶わず先頭打者の出塁を許してしまった。
















第三者side

「さすが。小技をさせれば右に出る奴はいねぇな」

期待通りの仕事をしてくれたランナーに拍手を送るカミューニ。それに清原は照れ臭そうに笑みを見せる。

「んじゃ予定通り行くか。しっかり頼むぜ、ソフィア」

打席に向かうはエースを務めるソフィア。彼女は打席に入るとすぐさまバントの構えを見せる。














莉愛side

(え?バント?)

バッターの思わぬ行動に監督の指示を仰ぐ。しかし監督からはそれはあり得ないとジェスチャーで伝えられる。

(そうだよね。この回に勝負を仕掛けようとしてるのに、中軸にこんな消極的な作戦はあり得ない)

ここまでバントをしてきたことももしかしたら伏線なのかもしれない。もしかしたら……それの思考を突いてバスターを完成させようとしているのかもしれない。

(いや……この場面はバスターエンドランじゃない?)

守備がバントを警戒すれば後ろにスペースが空く。そこでさらにランナーも動かされればそれにも対応せざるを得ないためさらにヒットコースが空いてしまう。

(すぐには動かないでください。ギリギリまで耐えて)
((((了解))))

この際ゲッツーなんて取らなくていい。点差もあるし相手のビッグイニングの法則を破ることを優先した方がいい。

「紗枝、しっかりな」
「はい」

この場面で一番判断が難しいのはセカンドの紗枝。そのことを改めて莉子さんから言われて彼女も足場を慣らしながらベストなポジショニングを探る。

(外に外れるスライダー。たぶんこのチームは初球から仕掛けてくるでしょ)
(私もそう思う)

私たちが警戒しているのはわかってるはず。カウントが整うまで待っていると策が見破られかねないと考えるはず。なら奇襲を仕掛けた直後の初球はより有効なはず。

右打者のソフィアさんから逃げていくスライダー。これなら仮にバットに当てられても長打はない。

一度牽制を挟んでからの初球。予想通りと言うべきか一塁ランナーがスタートする。

(やっぱり……!?)

しかし瑞姫が投球モーションに入っているのにバッターはバットを引かない。ここからではバスターはあり得ないため葉月さんと優愛ちゃん先輩がバントに備えて前に出る。

(まさかバントエンドラン?……って!?)

そこで視界の片隅でとんでもないアクシデントが起きていた。スタートしたはずの清原さんがコケているように見える。それに紗枝も気付いており一塁へとベースカバーに向かっている。

「わっ!?」

それでもプレーは止まらない。そのままバントを敢行しようとしたソフィアさんだったが、外のボールゾーンまで逃げていくスライダーに手が届かず空振り。

「莉愛!!」
「紗枝!!」

バントは空振りランナーは転倒。ミスが重なった桜華学院に慈悲を与えるつもりはない。身体を反転させ一塁ベースカバーの紗枝へ送球しようとする。

「投げるな!!」
「え?」

そんな中ベンチから監督の声が響く。しかしここまで来て腕が止まるわけなく送球してしまう。それは問題なくベースカバーの紗枝が捕球した。しかし……

「紗枝!!」
「莉子さん!!」

転倒したはずの清原さんがいつの間にか二塁へとスタートを切っていたのだ。慌てて二塁に紗枝が送球するものの、ギリギリのタイミングでのベースカバーだったこともあり進行方向と逆方向への動きで送球が逸れる。莉子さんが抑えさらなる進塁は防いだものの結果的には二塁への進塁を許してしまった。

「もしかして狙ってた?」

相手のベンチに視線を向ける。そこに座る青年はこちらを見て不敵な笑みを浮かべていた。
















第三者side

「あんな危険犯さなくても……」

ランナーが進塁したことにホッと一安心といった様子の女性。その前にドッカリと座っている青年は余裕綽々の様子だった。

「失敗したらしたでいいんだよ。ソフィアが自由に打てるだけなんだから」

打力のある選手が後ろに控えているからこその作戦。しかしそれはただのギャンブルではなかった。

「しかもこれで相手には新たな技が刷り込まれた。警戒しなければならないものが増えれば増えるほど神経はすり減り、疲弊する」

前の試合も見られていることをわかっている上での相手の思考を上回るにはさらなる策を講じる必要がある。その上で新たな攻撃の手段を打たれれば相手はさらに警戒心を強める。本来ならそれは不利に働きそうなものだが、彼にとっては好都合。

「これでより点が入りやすくなった。次のボールも予測できる。ソフィアなら最低限の仕事はできるからな」

この回での勝ち越しを確信しているのか笑みを浮かべるカミューニ。対する明宝バッテリーは頭の中を切り換えていた。

(起きちゃったものは仕方ない。ならここでやるべきことは……)

瑞姫にサインを送ると彼女も同意見だったのかすんなり頷く。

(ソフィアさんは早打ちの傾向がある。だったらここは……)
(フォークでしょ!!)

1ストライクからの二球目。これにソフィアは当然のようにスイングを開始する。

(よし!!食い付いた!!)

狙い通りの展開に笑みが溢れる莉愛。ストライクゾーンから急降下を始めるボール。それに付いていこうとソフィアの体勢が崩れる。

「ほいっと」

ここからでは長打は放てない。それどころか引っかければ三遊間へのゴロになり進塁も出来ない。そう思っていたのにソフィアはまるで狙っていたかのように一二塁間へと流し打つ。

「セカンド!!」

鋭い打球に紗枝が飛び付く。しかしわずかに届かず打球はライト前へと抜けていき、二塁ランナーの清原は三塁を……

「ストップストップ!!」

回ったところで停止していた。

ビュンッ

ライトから栞里のバックホーム。それはホームベース前で待ち構えていた莉愛に寸分違わず到達する。

「走ってたら刺せたのになぁ」

栞里の肩の強さを始めから計算に入れていたために無理なホーム突入を行わなかった桜華学院。これに瑞姫も莉愛もホッと一息。しかし、すぐに頭を切り替える。

「次、厳しく攻めるよ」
「わかってる」

バックアップに走っていた瑞姫。マウンドに戻る彼女に手渡しでボールを渡しながら声をかける。二人の少女の視線は打席へと向かってくる少女へと向けられていた。

(ノーアウト一、三塁……ここで打席にはリュシーさん。もし一発が出たらたちまち同点にされる……!!)

明宝にとってこの試合初めてのピンチ。そこで迎える相手は桜華の主砲。その事実にグラウンドにいる全員に緊張が走った。



 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
ここからは桜華学院の反撃開始となっております。
次は早めに出せるように頑張りますo(`^´*) 
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