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八条学園騒動記

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第六百五十九話 愚かも極まるとその十二

「ドイツ語のあの響きは」
「フロイラインという」
「あれが好きなので」
 だからだというのだ。
「今はです」
「お嬢様ですね」
「プライベートの場では」
 即ちこうした時はというのだ。
「その様に呼んで下さい」
「畏まりました」
「連合ではドイツは嫌われていますが」 
 もっと言えばエウロパ全体がそうである。
「しかしです」
「マウリアでは違います」
「友好国ですから」
「イギリスには支配を受けましたが」
「それは千数百年昔のことです」
「ですから」
 セーラは歴史のことはこれで終わらせた、連合ではエウロパへの敵愾心を高める為に植民徒統治のことは大々的に言っているがマウリアは違うのだ。
「交流も深く」
「お嬢様もです」
「エウロパにも留学されていましたし」
「そこで、でした」
 そのエウロパでというのだ。
「ドイツに行った時にです」
「姫様と言われ」
「それと共にお嬢様とも巷で言われ」
「そしてでしたね」
「お嬢様という言葉の響きにでしたね」
「心地よいものを感じましたので」 
 だからだというのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「今もですね」
「エウロパでの留学を終えて」
「連合でもですね」
「プライベートでは」 
 今の様な場ではというのだ。
「姫様と言われるよりも」
「お嬢様ですね」
「そう呼ばれたいですね」
「それで私達にもですね」
「その様にですね」
「呼んでもらっています」
 実際にというのだ。
「そうしてもらっています」
「左様ですね」
「私達にもですね」
「はい、ではこれからも」
 セーラは自分の後ろに控えて立っているラメダスとベッキーに微笑みながら話した、手にはダイアのグラスがありその中にロックの最上級の連合のウイスキーがある。
「その様にお願いします」
「わかりました」
「ではです」
「お嬢様とお呼びします」
「これからも。それとですが」
 セーラは飲みながら話した。 
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