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おっちょこちょいのかよちゃん

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214 仲間がいなくなれば

 
前書き
《前回》
 杉山はレーニンがかよ子を殺害する計画を杖を奪うと共に立てているのではと疑う。そして入江小学校3年4組の教室では異世界に行ったクラスメイト達がどうしているかたまえととし子が心配していた。そして永沢は藤木がいなくなる事に肯定的な意見を述べた事でたまえととし子は批判する。そして永沢の言葉から笹山は遂に決断する。そして以前フローレンスから貰ったボールペンのような道具を使用し、フローレンスを呼び、自身も異世界に行って藤木を探すと伝えるのだった!! 

 
 笹山とフローレンスは三保神社から異世界へ通じる穴を通り抜け、その穴の出口に到着した。
「ここがフローレンスさんの住む世界・・・?」
「はい。あの建物が私達の世界の本部となります」
 フローレンスは巨大な城のような建物を指差した。そしてフローレンスは笹山を本部のある部屋へと連れて行った。
「笹山かず子ちゃん、この度はご決断と藤木茂君の救出にお手伝いして頂きましてありがとうございます。その道具は笹山かず子ちゃんの藤木茂君に戻ってきて欲しいという願いを込めました道具となります。その道具の尖っています所に指をつけまして頭の中で貴女の願いを思い浮かべてください」
「はい」
 笹山は自分の願いを思い浮かべ、ボールペンのような道具の尖った部分に自分の指をつけ、今の願い・藤木に戻ってきて欲しいという願いだけを考えた。ボールペンは元々白色だったがそれが緑色に変わった。
「ありがとうございます。色が変わりました。これを藤木茂君にお会いしました時にお使いください。貴女にはこれをして欲しかったのです。仮に貴女がここに来ないという決断をしましてもこれをやっていただきましてその道具を山田かよ子ちゃん達にお渡ししましょうと考えていました」
「そうだったんですか・・・」
 そしてフローレンスの話は続く。
「藤木茂君はこの地の東側の方角にいますと思われます。お一人では心細いかつ危険ですと思いますのでここの世界の人に付き添いをお願いしたいと思います。ですが今はまだここに来たばかりですので心も落ち着いていませんでしょう。少しお休みになって下さい」
 フローレンスは指を鳴らした。笹山とフローレンスがいる部屋のテーブルにクッキーやチョコレート、煎餅や団子などの菓子とジュースや緑茶などの飲み物がその場に現れた。
「ありがとうございます・・・」
 笹山は休息する事にした。

 レーニンはトランシーバーを出した。
「こちらレーニンだ」
『こちらトロツキー。リョードを狙う者が我々の所まで来ていると聞きました』
「そうだな。貴様の所まで来る可能性もゼロでは無くなってきた。返り討ちにせよ」
『リョーカイ!』
 通信を終了させた。
「今、杖の所有者達は赤軍の者達が出向いて足止めさせているであろう。先を越されぬようにせねばな」
「だがよ、赤軍や反日戦線の奴等だけで、何度も返り討ちにされているじゃねえかよ。実際そいつらだけに任せた結果、剣を取られたじゃねえか。壁にするにはまた誰か近くにいる奴と合流させてやればいい話だ。何度か立ち塞がって疲労している所を狙えばこっちが有利な筈だぜ」
「解った。援軍も回そう」
 レーニンはトランシーバーを出し、赤軍や東アジア反日武装戦線との合流を命じた。

 かよ子のすぐ傍に一人の男がいた。
「た、確か・・・」
「杯は貰ったが、次は貴様の杖、そしてネロやアンヌ王妃などを倒したという女の護符だ。貴様が目的地に着くには私も貴様を奪いやすくなるという事だ。それから最後はあの少年が奪っていった剣も直ぐに取り返す」
「わ、私は負けないし、絶対に渡しもしないよ!それから杉山君やりえちゃんも取り返すよ!!」
「やれるものならやってみるがよい。貴様の仲間がいなくなったら一人でも私を倒せるかな?貴様自身の杖を守り抜けるかな?」
「え?」
「そのおっちょこちょいで一度貴様は杖を奪われているであろう?」
 かよ子は思い出した。杖を奪われた時、それは以前、異世界から善人を装った入鹿という人物に騙されて杖を奪われた時である。
「知ってるの?」
「この事は赤軍の長・重信房子を通して私の耳に届いているのだ。あの時は貴様一人では出し抜かれている。仲間の加勢で何とか取り返せたのだ。だが、今いる貴様の仲間がいなくなり、倒されたら、一人でおっちょこちょいをするだろうな」
「お、おっちょこちょいなんかしないよ!!」
「威勢のいい小娘だ・・・」
 男が遠ざかっていく。同時にかよ子も意識を失っていく。

「はあ、はあ・・・、はっ!」
 かよ子は起きた。空は既に暗くなっていた。
「山田、大丈夫だったか?」
 大野がいた。
「私は・・・?」
 かよ子は状況が整理できずにいた。
「お主はシャルル・リゴーとの戦いで杖を盗られまいと羽根から飛び降りたのだ。それを親分や鳥橋のり子の人形で救われたのだが、同時に意識を失っていたのだ」
 石松が説明した。
「わ、私、そんなことを・・・」
 かよ子は杖を奪われたくないが為に無茶な事をしていた事を思い出した。
「ご、ごめん、皆に迷惑かけて・・・」
 かよ子は謝罪した。
「気にするでない。もう夕食時であろう今日はここで休むがよい」
「う、うん・・・」
 かよ子は夢の中に出てきた男を思い出す。あの男は確か・・・。
(そうだ、あの時、赤軍の人と一緒にいて、杉山君を取り込んだって言う・・・!!)
 かよ子は杉山を取り込んだ男と聞いてピンと来た。
(じゃあ、あれが戦争を正義としている世界の支配者・・・!!じゃあ、今度杉山君と会うなら危険な事になるの・・・!?)
 かよ子は落ち着かなくなるのであった。

 雪山から移動型民族のように集団が降りて来る。
「茂様の『スケート』、凄くお上手でしたわね!」
 元気いっぱいの性格の遊女が少年に話しかける。
「いやあ、それ程でも〜」
 少年は非常に照れていた。
「その茂様のお嫁になる人もきっとその格好いい姿を見られましたらきっと一目惚れ間違いありませんよ」
 落ち着いた性格の遊女も言う。
(『あの子』か・・・。来てくれるかな?)
 少年はそう信じていた。
「そうだ、身体も冷えましたでしょう。帰ったら温かい料理をお作りしますね。『スキヤキ』とかは如何でしょうか?」
「あ、うん、いいね!」
 集団は彼女らの屋敷へと帰って行く。

 笹山は休憩後、フローレンスと共にある場所へと行っていた。
「この場所から藤木茂君のいます所へは徒歩では大変ですと思います。その為、ある方に移動が楽になりますよう『自動車』といいます乗り物を用意させていただいております」
「自動車・・・?」
 二人が着いた場所はとある工場だった。
「ヘンリー、おりますか?」
 一人の男性が現れた。
「ああ、フローレンス。そのお嬢さんは?」
「貴方に頼みました自動車に乗せます女の子です。名前は笹山かず子ちゃんといいます。この子が敵の世界にいます少年を探しにいきます予定でいます。発注しました自動車は完成していますか?」
「ああ、勿論。今までよりも更に高性能な物ができたよ」
 フローレンスと笹山はヘンリーに連れられて工場の中へ入った。そこには銀色の自動車があった。

 すみ子達は本部守備班の到着を待っていた。
「暗くなっちまったな」
 山口が空を見上げた。
「ここに来るまで時間が掛かる筈ですからここで休息致しましょう」
 エレーヌは提案した。
「うん・・・」
『皆様、お疲れ様です。夕食の準備ができました。お召し上がりください』
 イマヌエルから声が聞こえた。皆の前で食事が提供された。
(何か、落ち着かない・・・)
 すみ子はそう思いながらも食事する。
(やっぱり、近くにまた誰か来ているの・・・?) 
 

 
後書き
次回は・・・
「追跡の続き」
 夜中、さりは謎の夢を見る。そして朝、かよ子は気を失っていた時に見た夢を石松達に説明する。そしてそのかよ子達の元に次なる刺客が訪れる。かよ子は羽根の結界で防御を試みるのだが・・・!? 
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