夢幻水滸伝
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第二百三十七話 武の用い方その九
「最早」
「そして郁君はそちらの戦は躊躇しませんね」
「民を、人を守る為ならでしよ」
ここで顔を上げて語った。
「だからでし」
「戦いますね」
「そうするでし」
「しかも自分が出陣して」
「人を守る為にあらゆることをしろとでし」
その様にというのだ。
「お祖父ちゃんに言われたでし」
「そうですね」
「はい、そうでし」
まさにというのだ。
「戦うしかないならでし」
「戦いますね」
「お祖父ちゃんは文革で家族全員生き残ったでしが」
あの大混乱の中をというのだ、最早内乱状態であったこの騒動の中で中国は多くの文化財だけでなく人命も失っている。
「何でもずっと息を潜めてでし」
「目立たない様にしてでしか」
「何も言わないで」
そうしてというのだ。
「やり過ごしたそうでし」
「そうでしたか」
「知恵も使って」
「生き残ったのですね」
「幸いその地域は紅衛兵がいても穏健で」
暴れ回った彼等の中でもというのだ。
「そうでして」
「それで、ですか」
「幸い密告等はしなかったそうでし」
「それは何よりですね」
「はい、そして戦うしかないのならでし」
郁はまた言った。
「戦えとでし」
「言われましたか」
「特に人を守る為には」
「自分以外の人を」
「家族や友達を」
その彼等をというのだ。
「そしてこの世界ではでし」
「この世界そして民達も」
「そうするでしよ」
「そうですね、ではです」
巴は郁に微笑んで話した。
「そうした勢力とはです」
「戦うでしね」
「そうするしかないのです」
まさにというのだ。
「ですから」
「三人で兵を率いて」
「戦いましょう」
「わかったでし」
「戦うが無闇な殺戮はせん」
呉はこのことは確かな声で話した。
「それはや」
「絶対でしね」
「兵達にも厳命させてるしな」
それ故にというのだ。
「そうしてくで」
「そのことは本当にでしね」
郁はしみじみとした口調で応えた。
「何があってもでし」
「守らんとあかん」
「敵を倒しても」
「民を傷付けたらあかん」
「そして捕虜もでし」
「復活させられても」
それでもというのだ。
「傷付けること自体がな」
「駄目でし」
「ほんまにな、世界を救うんなら」
それならというのだ。
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