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おぢばにおかえり

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第六十九話 先輩達と会ってもその二十二

「あんな立派でいい人はいないよ」
「そんなにいい人なんですか」
「うん、おおらかで穏やかで優しくて不平不満なんか一切言わない」
「僕はその人のお陰でお道に入れたんです」
 新一君が言ってきました。
「初代さんで」
「そうだったの」
「子供はいないですが」 
 それでもというのです。
「うちの親父が息子みたいなもので」
「じゃあ新一君はお孫さんになるの」
「はい、理だと三代目ですね」
 そうなるというのです。
「僕は」
「その人が初代で」
「そうです、僕はお祖母ちゃんが三人います」
「その人とご両親の」
「はい、母方のお祖母ちゃんとその大叔母さんの妹さんで」
「あれっ、父方の人は」
「完全に他人ですから」
 むっとしたお顔での返事でした。
「知らないです」
「そこから先は聞かないからね」
「そうですか」
「さっきからずっと見てきたから」
 新一君の嫌いな人に対する徹底さはです。
「というかやっぱりお家のいんねんあるのね」
「そうみたいですね」
「それも相当に。けれどそんなにその大叔母さんいい人なのね」
「今度機会があったら会って下さい」
 新一君は晴れやかなお顔で言ってきました。
「是非」
「そうさせてもらうわね」
 私も約束しました。 
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