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夢幻水滸伝

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第二百三十六話 洛陽に出てその五

「これは」
「何でしか?」
「貴方は只者ではないですね」
 こう言うのだった。
「左様ですね」
「星の者と言われたでし」
 郁は老婆に素直に答えた。
「この世界に来てすぐに心に声がそう言ってきたでし」
「そうですか、ではその星の方が」
「これからどうすべきか」 
 このことをというのだ。
「知りたくてでし」
「わしのところに来られましたか」
「そうでし」
 郁は占い師の老婆に答えた。
「まさに」
「それでどうするかですね」
「ここで占って欲しいでし」
 こう言ってだ、郁は。
 今持っている銭を支払った、無一文ではなかったことが幸いした。
「宜しく頼むでし」
「わかりました」 
 占い師は銭を受け取った、そうしてだった。 
 彼を八卦で占った、そのうえで語った。
「河南省の新郷に行かれて下さい」
「あの街でしか」
「あの街に行かれますと」
 そうすればというのだ。
「お二人の星の方とお会い出来ます」
「そうしてでしね」
「お二人と旗揚げをされて」
 そうしてというのだ。
「ことをはじめられて下さい」
「三人で、でしか」
「はい、そうされればです」
 老婆はさらに話した。
「順調にです」
「ことを進められるでしか」
「そうなります、ただ」 
 ここでだ、老婆は郁にこうも話した。
「貴方は今持っておられた銭を全てわしに支払われました」
「報酬を支払うのは当然でし」
「わしは受け取りました、それで貴方は今銭を持っておられないので」
「それをどう稼ぐかでしか」
「少し街で講談をされれば」
 そうすればというのだ。
「それで、です」
「見付かりますか」
「はい」
 そうなるというのだ。
「必ず」
「そうなのでしか」
「そうされて旅の銭を稼がれて」
「貯まればですしね」
「旅立たれて下さい」
「わかったでし」
 郁は占い師の言葉に頷いてだった。
「そうするでし」
「この世界をお願いします」
 占い師は郁にこうも言った、そうしてだった。
 郁は早速講談をはじめそれが好評ですぐに旅賃を稼いだ、そのうえで旅に出て新郷を目指した。そこに行ってだった。 
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