夢幻水滸伝
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第二百三十四話 太原攻略の後でその八
「必ずな、そやから今はや」
「退いてですか」
「太源から出ろというのです」
「そして落ち合うで」
「傷付いている者を優先して逃がすでし」
郁も術で陳と必死に戦いつつ話した。
「死体も出来るだけでし」
「持って行き」
「そして安全な場所で復活させますね」
「そうせよというのですね」
「そうでし、魂は身体が復活すると戻るでし」
だからだというのだ。
「そうするでし」
「わかりました」
「死体も運びます」
「そのうえで撤退します」
「そうします」
「死体も列車に乗せてな」
そうしてというのだ。
「運ぶとええ」
「それがいいですね」
「列車に乗せれば死体も楽に運べます」
「そやからですね」
「ここはですね」
「そうします」
こう言ってそうしてだった。
兵達は撤退していった、巴は太原の最も主要な駅である太原駅を守りそこに来た曹に術を放ってだった。
目晦ましを仕掛けた、だが。
曹の攻撃は的確だった、それで巴は言った。
「やはり通じませんか」
「いや、目で見てへん」
曹は強い声で応えた。
「気でや」
「それで感じておられてですか」
「攻撃してる」
「そうですか、やはりです」
駅の入り口で曹と闘いつつ言った。
「格闘では貴方の方が上ですね」
「そやな、しかし自分もな」
「ここで退く訳にはいかないので」
見れば巴は術で自分の身体能力を上げていて動きが普段より素早い、それで曹の狼牙棍の攻撃をかわしている。
「ですから」
「それでか」
「私も退く訳にはいきません」
「この駅は渡さんか」
「断じて」
「そうか、しかしこっちも負ける訳にはいかん」
曹は構えを取りつつ述べた。
「この駅は渡してもらうで」
「そやからここに来られましたね」
「ああ、ほなどっちが勝つか勝負やな」
「左様ですね、では貴方達はお逃げなさい」
駅に必死に集まる兵達にはこう告げた。
「すぐに列車に乗り下がって下さい」
「ですが巴様は」
「宜しいのですか?」
「巴様はそのままで」
「撤退されなくて」
「私は最後です」
自分を気遣う兵達に微笑んで応えた。
「移動の術がありますので」
「その術を使ってですか」
「そうしてですか」
「撤退されますか」
「そうされますか」
「それは呉君と郁君も同じです」
彼等もというのだ。
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