恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十六話 小次郎、仇を取るのことその九
「字が読めなくても魔を退けられるのなら」
「姉さんってそういうところお気楽よね」
張梁はそんな姉に少し呆れて突っ込みを入れた。
「字の読める読めないじゃなくて魔を祓えるかどうかって」
「けれどその通り」
張宝は長姉の考えに賛同した。
「幾ら字が奇麗でも御札は御札だから」
「ううん、確かにそうだけれどね」
張梁は少し考えてからだ。何だかんだという感じで姉の考えに傾いた。
「御札って使えないと意味がないから」
「何か御札を書いてる人達の力ってどれもね」
どうかというのだ。彼女達の力は。
「お姉ちゃんにもわかるから」
「まあね。あたし達一応妖術も使えるしね」
「少しだけれど」
妹達もここで妖術のことを話す。
「こういうの多少だけれどわかるし」
「感じ取れるから」
「これだけの力があれば怪しい存在は中に入って来られないわね」
「じゃあ連中はいよいよ手がないかしら」
「決戦、遂に」
「ううん。何となくだけれど」
ここでだ。張角は少し考える顔になり言った。
「もっと歌いたいけれど」
「歌ならそれこそ好きなだけ歌ってるじゃない」
「また舞台があるから」
「それはそうだけれど」
それでもだというのだった。そうしてだ。
張角は再びだ。妹達に話した。
「何か派手で思い切り奇麗な舞台をしたいけれど」
「じゃあまた偶像支配と勝負する?」
「大喬、小喬姉妹とも」
「それもいいかしら」
そんな話をしながらだ。三姉妹はかなり気楽に札を貼っていた。そんな彼女達を見てだ。
テリーがだ。笑いながらアンディと丈に話した。
「あの三人も欠かせない娘達だな」
「あれっ、兄さんアイドル好きだったの?」
「初耳だぜ、そりゃ」
「いや、そうした意味じゃなくてな」
ファンやそうした意味でのことではないというのだ。
「あれだよ。このとんでもない戦いにだよ」
「あの娘達の力が必要だっていうんだね」
「そういうことか」
「ああ、そうだよ」
まさにその通りだとだ。テリーは二人に話す。
「歌の力も凄いしな」
「確かに。黄巾の乱の時は凄かったしね」
「歌だけであれだけのことができたからな」
「歌の力って凄いんだよ」
テリーは断言さえした。
「あの娘達の歌にしろな」
「じゃあその歌の力であの娘達も」
「戦いを終わらせる力になるか」
「そうなるさ。だからな」
ここでまた言うテリーだった。微笑んで。
「俺も音楽の方でも頑張るか」
「ああ、ドラムね」
「そっちか」
テリーはドラムもやっている。そちらでも知られている。
だからだ。彼はそれにも力を入れるというのである。
「やるさ。そっちもな」
「ううん、私はどうも音楽は弱いけれど」
「俺は演歌専門だしな」
アンディは静寂を好む。丈は演歌一筋だ。それぞれ音楽の好みはかなり違う。
「だから兄さんのそうしたことには何も言えないね」
「ドラムで演歌は無理だしな」
「ああ、無理だ」
実際にそうだと断言するテリーだった。演歌については。
「悪いな、それは」
「いや、わかるからいいさ」
丈もそれはいいとした。
「まあとにかくな」
「ドラムもやっていいな」
「それで戦いに勝てるんならな」
「頑張ってくれてね」
「ああ、そうさせてもらうな」
テリーは笑って応えてだった。ドラムの方にも力を入れることを決意したのだった。音楽もまた、だ。この大きな戦いにおける力になっていたのであった。
第百十六話 完
2011・10・12
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