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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十六話 小次郎、仇を取るのことその一

                          第百十六話  小次郎、仇を取るのこと
 ふとだ。孫策が共にいる二張に言った。彼女は今は己の天幕にいる。
 その中でだ。こう言ったのである。
「小次郎は今は見回りに行っているわね」
「はい、今日も励んでおられます」
「鷲塚殿と共に」
 そうしているとだ。二人も主に話す。
「怪しい者を実際に御覧になったらしく」
「そうされています」
「真面目ね。相変わらず」
 孫策は二人からそうしている聞いて微笑んだ。
 そうしてだ。二人に今度はこんなことを言った。
「ところでね」
「ところで?」
「ところでといいますと」
「あの娘について何か気付いたかしら」
「?何をですか?」
「一体」
「私の今の言葉を」
 笑みがだ。さらに楽しげなものになっていた。
「あの『娘』と言ったわね」
「?ではあの方は」
「殿方ではなかったのですか」
「ええ。あくまでそう見せているけれどね」
 だが実際はどうかというのだ。
「あの娘は違うのよ」
「またどうしてその様なことを」
「男装の麗人とは」
 二張はいぶかしんで主に問うた。
「新撰組が女人禁制だったとは聞いていますが」
「そもそもどうして新撰組に」
「その詳しい事情は知らないけれど」
 孫策は知らない。知っているのは本人と鷲塚だけだ。
「けれど。何か目的があってね」
「そうしてですか」
「そのうえで、なのですね」
「ああして。男であることを通しているのよ」
 何か目的があるのはわかっていた。それがどういったものかはわからないにしても。
 その中でだ。また言う孫策だった。
「ああいう娘もいいわね」
「あの、まさかと思いますが」
「小次郎殿を褥に」
「それはしないわ」
 そのことはだ。孫策はすぐに否定した。
 そうしてだ。こう述べるのだった。
「ただ。応援したくなるのよ」
「その目的が果たされることをですね」
「そのことを」
「そうよ。期待しているわ」
 こう話すのだった。小次郎のことを。
 その小次郎は今日もだった。鷲塚と共に見回りにあたっている。甘寧や馬岱も同行している。
 その中で甘寧がだ。馬岱に尋ねる。
「ところで劉備殿の護衛だが」
「姉様達と焔耶がいるからね」
「貴殿は特にか」
「だからこうして見回りをしているのよ」
「そうか。実は私もだ」
「甘寧さんもなの」
「本来私は蓮華様の近衛隊長なのだ」
 その役割を馬岱に話す。
「だが今は雪蓮様の護衛になっている」
「で、こうして見回りにもなのね」
「そうだ。出ているのだ」
「蒲公英は桃香様の護衛が六人もいるから」
「一杯になってか」
「そう。だから見回り専門になってるの」
 そうだというのだ。
「特に焔耶が桃香様から離れなくてね」
「魏延殿だな」
「あいつ桃香様のこと大好きだから」
 それで離れない、いつもの魏延である。
「一緒の褥でお休みするしお風呂だって一緒だし」
「よくそれで何もないな」
「桃香様はあんなのだしね」
 つまり極端に天然だというのだ。
「それに焔耶はあれで奥手だし」
「そうなのか。意外だな」
「桃香様から誘わない限り動かないから」
 そうしたところでは弱気の魏延なのだ。意外なことにだ。
 
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