展覧会の絵
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第一話 キュクロプスその十二
「それだよ」
「えっ、死刑って」
「こんな死刑のやり方あるんですか?」
「ちょっとないと思いますけれど」
「これは」
「日本の死刑じゃない」
死刑と言っても様々だ。そういうことだった。
「西洋の死刑だな」
「ああ、あっちのですか」
「あっちの死刑のやり方ですか」
「確かに殺し方はサイコ殺人のそれに見えるがな」
そこだけを見ればだ。そうだというのだ。
だがそこにあるものは実は何か。刑事は見抜いたのだ。
そしてそのうえでだ。彼は警官達に話したのである。
「だがそれでもな」
「それでもですか」
「この殺し方はですか」
「魔女狩りの死刑だな」
まさにだ。それだというのだ。
「これはな」
「魔女狩りですか」
「それですか」
「そうだ。もっともあれはだ」
魔女狩りの処刑についてはだ。刑事はこうだ。忌々しげに述べた。
「殆どが冤罪だったがな」
「あれっ、殆どですか」
「全部じゃないんですか」
「中には魔女も実際にいたからだ」
だからだというのだ。
「それで殆どだ」
「あの、実際に魔女がですか」
「いたんですか」
「中にはな。毒を売っていた者もいた」
そうだったというのだ。
「それが魔女だ」
「そうですか。それですか」
「そういう奴もいたんですか」
「毒や堕胎をこっそりやっていた。これを魔女と言うならだ」
「それが魔女になる」
「そういうことですか」
警官達も刑事の話を聞いて頷いた。そしてだ。
そのうえでだ。あらためて話すのだった。
「だからですか。魔女狩りは全てが冤罪ではない」
「そうなるんですね」
「その通りだ。そしてだ」
刑事は警官達に応えながらまた言う。
「この連中はクロだったからな」
「そこが魔女狩りとは違う」
「シロの人間を手にかけないからこそ」
「ある意味においてそこはしっかりとしているな」
刑事は険しい顔で述べた。
「確かに残虐だがな」
「残虐な正義ですか」
「それになるんでしょうか」
「そうだな。そうなるな」
実際にそうだと述べる刑事だった。そうしてだ。
彼はあらためてだ。警官達に述べたのだった。
「しかしだ。殺人は殺人だ」
「はい、れっきとした犯罪ですねこれは」
「相手が悪人といえども」
「殺したことは事実ですから」
「そうなりますね」
「そうだ。それもかなり残虐な連続殺人だ」
刑事はまた言った。
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