夢幻水滸伝
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第二百二十八話 寧夏の戦いその十二
「わらわはな」
「それで、ですか」
「その人は国立の外大出身じゃったが」
それだけで少なくとも学校の勉強は出来ることは間違いないというのだ、国立大学にはそれだけでそのステータスが存在しているのだ。
「しかしのう」
「それでもですね」
「そうしたことをしたんじゃ」
「人前でも何処でもです」
「したらあかんじゃろ」
「おらっちでもせんですわ」
残は真顔で述べた。
「そんなことは」
「いや、普通に人としてあれですわ」
「頭悪くて下品ですわ」
「最低の行いですわ」
「人として終わってますわ」
紗枝達四人も述べた。
「幾ら何でも」
「それはないです」
「そんなんしたらあきません」
「何があっても」
「そやな、人はやっていいこととあかんことがあるんじゃ」
碧はまた言った。
「幾ら勉強が出来てもじゃ」
「それがあかん人もおる」
「ええ大学出ててもあれはあれ」
「そういうことですね」
「要するに」
「そういうことじゃ、わらわは幾らイケメンでもじゃ」
その相手がというのだ。
「こんなのとは結婚せんわ」
「したらあかんやろ」
羅も言ってきた。
「流石に」
「そうじゃな」
「結婚してもええことないぞ」
「茶碗に痰吐く様だとのう」
「どんだけ下品や、世界の何処にもそれをええっていう文化ないわ」
羅は怒ってさえいた、そのうえでの言葉だ。
「茶碗はもの食べる器じゃ」
「間違っても痰壺じゃないけえ」
「そんこなことはな」
「絶対にしたらあかん」
「そや、それで優しくしたらつけ上がるか」
「朝その人の食器を自分のと一緒に下げたら昼無言で差し出してきた」
碧は具体的な例を述べた。
「そうしてきたんじゃ」
「昼も頼む、か」
「有り難うも言わんでのう」
「そこもあかんな」
「そうじゃな」
「というかその人幾つや」
「その時四十じゃった」
それだけの年齢だったというのだ。
「うちに一食一晩の宿を借りたんじゃが」
「広島の実家にやな」
「そうじゃった」
「そこでそれか」
「父上も母上も兄上達もその時は黙ちょったが」
その後でというのだ。
「帰って家族会議でもう家に入れん」
「それが決まったんやな」
「家でやってる会社にも入れん」
「そのことも決まったか」
「どうにもならんって思ったな」
「そうか、ええ大学でもな」
「こんなどんな育ち方、生き方したか疑う人もおる」
碧も嫌そうな顔で話した。
「中にはのう」
「まあ人として下の下の下以下やけどな」
「その人見てわらわは思った」
「大事なのは人間性か」
「立場や学歴があってもじゃ」
それでもというのだ。
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