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おぢばにおかえり

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第六十八話 入学式その三

「それを着させてもらいます」
「入学式だから」
「あと卒業出来たら」
 その時もです。
「着させてもらおうと思っています」
「そうするのね」
「折角頂きましたから」
 その信者の方からです。
「是非です」
「それじゃあ朝ご飯食べたら」
「着替えてきます」
「そうしてね、それでね」
 奥さんは私ににこりと笑って言ってきました。
「阿波野君にも見せてあげてね」
「袴と振袖姿をですか」
「それをね」
「そうですね、新一君にもメールして」
「メールしなくてもあの子は来ると思うけれどね」
「この詰所にですね」
「いつも来ているし」
 それにというのです。
「千里ちゃんの晴れ着だから」
「私のですか」
「もう絶対に来るわ」
 太鼓判さえ押してきました。
「だから安心してね」
「安心するんですか」
「そうしていいわ」
「どうして安心していいんですか?」
 奥さんに思わず聞き返した。
「一体」
「だから阿波野君は絶対に千里ちゃんを見るからよ」
「絶対になんですね」
「もう何があってもね」
「そういえば一年間やたら会いましたし」
 実家にいる時すらでした。
「これからもですね」
「ええ、だからね」
「今回もですか」
「絶対に来るから」
「その時に驚いたりしないことですね」
「広い気持ちで接してあげてね」
「わかりました」
 正直こう答えるしかありませんでした。 
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