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夢幻水滸伝

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第二百二十六話 これより西へその十

「それで交易にな」
「こっちの街や村に来るな」
「それはええかどうか」
「それが問題やな、言っておくが攻めることはせん」
 ナツァグドルジはこのことは断った。
「それはな」
「しませんか」
「モンゴルの諸部族はまとめました」
「ナツァグドルジ様がそうされました」
 ここで蒼き狼と白き鹿が言ってきた。
「そのうえでモンゴルを治めておられます」
「もう草原はナツァグドルジ様のものです」
「モンゴルの主部族だけでなく草原全体を治めておられます」
「善政で餓えもなくです」
「貧しさもなくなったので」
「周りを攻めることもないです」
「そや、攻めることもな」
 このこともとだ、ナツァグドルジは陳に微笑んで話した。
「する必要がないわ」
「左様ですか」
「この世界でもモンゴル人はのんびりしてるが」 
 それでもというのだ。
「しかしな」
「それでもですか」
「必要とあれば周りを襲ってものを手に入れる」
「それは当然のことですか」
「別に悪いことと思ってへん」
 モンゴル人達はというのだ。
「略奪はな」
「この世界でもですね」
「生きる為なら当然やとな」 
 その様にというのだ。
「考えてるからな」
「何かあるとですか」
「そうもするが」
「今のモンゴルはですか」
「それはせん、ただな」
「交易はですね」
「そや」
 それはというのだ。
「是非な」
「認めて欲しいのですね」
「そうしてくれるか」
「少しお待ち下さい」
 陳はナツァグドルジの要望を聞いてすぐに貝殻を出した、そのうえで羅と話してその後であらためてナツァグドルジに話した。
「是非やろうとのことです」
「羅の返事はそうか」
「はい、略奪は絶対に許しませんが」
「交易はやな」
「お互いに利益があり平和にことを収められるので」
 だからだというのだ。
「歓迎するとのことです」
「ほなな」
「はい、ですがモンゴルの平原だけで」
「僕もモンゴル人達もな」 
 ナツァグドルジは笑顔で答えた。
「充分や」
「そうですか」
「草原で暮らしてな」
「それでいいのですね」
「羊と馬それに犬と一緒に暮らすのも悪うないで」
 陳に笑って話すのだった。
「それもな」
「そうですか」
「そやからな」
「内モンゴルについては」
「そっちが領土とか言わん限り何もせん、民を傷付けるつもりもないやろ」
「はい、一切」
 陳もそれは絶対にと約束した。 
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