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八条学園騒動記

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第六百四十三話 カルトとは何かその十一

「無視して注文してな」
「食ったんだな」
「それも味付けが薄いが」
 エウロパでは貴族の食事は素材の味を活かすということで味付けはあえて薄くして上品に調理しているのだ。
「それもだ」
「自分達、連合の味にか」
「近付けてな」
 店にある調味料や香辛料をふんだんにかけてだ。
「食っていたそうだ」
「それはいいことだな」
「お前もそう思うな」
「貴族の味なんていらないだろ」
 これも連合の考えだ、エウロパのものは全て否定するのだ。それは料理の味それも貴族のものならなおさらである。
「そんな高慢なだけでな」
「何でも味が薄いらしい」
「水臭いか」
「碌に調味料を使わないでな」
 連合から見ればこうなる。
「そうして作っていてな」
「味が薄いか」
「ほぼないらしい、逆に濃い味はな」 
 それはというと。
「連合の味とか言ってだ」
「そのままだな」
「嫌うらしい」
「そうか」
「平民もだ」
 彼等もというのだ。
「味付けはな」
「薄いか」
「連合軍の人達が言っていた」
 士官がパブや食堂に平気で入ってだ、これもエウロパでは考えられないことで眉を顰められていた。
「平民の料理もな」
「味が薄いか」
「それで食えたものでなくてな」
「調味料や香辛料をかけてか」
「食っていたらしい」
「そうだったんだな」
「兎に角あちらの味は薄い」 
 エウロパのそれはというのだ。
「このことも覚えておくことだ」
「料理も勘違いしているか」
「そういうことだ、特にだ」
「特に?」
「イギリスだ」
 キャンプファイアーを見て焼き鳥を食べながら話した、そうしながらフランツと共に飲んで食べながら話すのだった。


カルトとは何か   完


               2021・11・9 
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