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八条学園騒動記

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第六百四十三話 カルトとは何かその二

「これまで話したな」
「浅ましい奴か」
「徹底的にな、感謝も恩も感じず」
 そうしてというのだ。
「人としての修行も積まずそれでいて尊大で図々しい」
「さっき話した様な奴か」
「人間の屑がなるものだ」
「人間の屑だからか」
「絶対にだ」
 それこそというのだ。
「布施餓鬼なぞするか」
「そのまま苦しめか」
「一万五千年ならな」
 それだけ生きるならというのだ。
「それだけだ」
「苦しんでいればいいか」
「ずっとな」
「ならだ」
 フランツはここでタムタムに問うた。
「他の人が布施餓鬼をするのはどうだ」
「それはどうでもいい」
 これがタムタムの返答だった。
「他の人がしてもな」
「それはか」
「別にいい」
「そうなんだな」
「俺はしないだけでだ」
 それでというのだ。
「他の人に考えを強制することはな」
「しないか」
「一切な」
 こうフランツに答えるのだった。
「他の人がすることはいい」
「そうか」
「あくまで俺の宗教上での考えだからな」
「宗教のことならか」
「他の人に強制はしない」
 一切というのだ。
「何もな」
「そうなんだな」
「お前がしてもな」
 布施餓鬼、それをというのだ。
「一切止めない」
「俺は難しいことは苦手だ」
 フランツは率直に答えた。
「どうもな」
「それでか」
「布施餓鬼もな、それで餓鬼がもっといい存在になれるならな」
「するか」
「餓鬼になっても生まれ変わるな」
「仏教の教えだとな」
 そうなるとだ、タムタムも答えた。
「そうした教えだ」
「それならな」
「お前は布施餓鬼をするか」
「そうするかもな、そして俺がそうしてもか」
「止めない」
「やはりそうか」
「いいことではある」
 タムタムもそれは否定しなかった。
「布施餓鬼もな」
「餓鬼でも救うからか」
「それが餓鬼の心に届くかも知れない」
 その可能性も否定しなかった。
「それならな」
「してもいいか」
「別にそれをしてもな」
 それでもというのだ。
「俺は止めない、お前以外の人がしてもな」
「止めないか」
「全くな」
「そうか」
「また言うが俺の考えだからな」
 布施餓鬼をしないことはというのだ。 
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