八条学園騒動記
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第六百四十二話 修羅道その七
「戦死している」
「そうだったな」
「他にも日本だけでなくアメリカでもそうしたことがあった」
「戦死しているプロ野球選手がいるか」
「スポーツ全体で見るとな」
野球に限らずというのだ。
「かなり多い、戦場に行ってだ」
「死んで二度と好きなスポーツが出来なくなったか」
「そうなってだ」
そうしてというのだ。
「歴史の中に消えていった」
「そんな人もいるか」
「そして競技自体もな」
「出来ないな」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「戦争はな」
「スポーツから見ても最悪だな」
「平和であればいい、だが」
「それでもか」
「平和であればいいか」
それが真の平和かというのだ。
「それは難しい問題だな」
「平和が一番でもか」
「戦争がないだけでそうか」
そして武力衝突がというのだ。
「人と人が和して、仲良くしてこそな」
「真の平和か」
「俺はそうも思う」
「そうか」
「ああ、しかし戦争がないだけで幸せだろう」
その平和の中での言葉だった。
「本当にな」
「それは俺もわかる」
フランツにしてもだ。
「やっぱりな」
「戦争がないとだな」
「サハラを見ているとな」
「今も戦争があって大勢の人が命を落としているな」
「オムダーマンとティムールの戦争でな」
「それを見てどう思うか」
サハラで今も行われている戦争をというのだ。
「いいとは思わないな」
「戦争に駆り出されてるしな」
「そしてスポーツも出来なくなる」
「他のこともだな」
「娯楽もなくなってだ」
戦争が起こるとそういったものがまずなくなっていく、戦争に国の力を注ぎ余分なものに向ける力即ち娯楽へのそれが真っ先になくなるのだ。
「そしてだ」
「そのうえでだな」
「住んでいる場所が戦闘に巻き込まれるとな」
「俺達も死ぬな」
「一般市民でもな」
戦わない者達もというのだ。
「そして街も何もかもがな」
「壊されるか」
「そして残るものは瓦礫の山だけだ」
そうなってしまうというのだ。
「生き残っても難民だ」
「それで幸せな筈がないな」
「それが戦争だからな」
「その中にいて幸せな筈がないな」
「そうだ」
絶対にというのだ。
「その筈がない」
「そういうことだな」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「俺も戦争がないとな」
「それだけでいいか」
「それと健康ならだ」
「いいか」
「この二つは幸せの原点だ」
「そうなんだな」
「しかしな」
それでもというのだ。
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