恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十三話 甘寧、敵陣を見るのことその八
「道に迷ってしまう」
「だからよ。ここはね」
慎重策でいく。そういうことだった。
それでだ。彼等は来た道を引き返していた。その中でだ。
ロックはだ。己の左に烈風拳を放ちながらほたるに言った。
「この連中もどうやら」
「この道のことは知っているみたいですね」
「ああ、だからな」
それでだというのだ。
「こうして横からも来るんだな」
「まるで獣みたいに来ますね」
ほたるもだ。襲って来たその敵を拳で退けながら応える。
「次から次に」
「けれどな。それでもな」
どうかとだ。ロックは戦いながら言う。
「帰るぞ。いいな」
「はい、何があっても」
「親父もいる」
牙刀は自身とほたるの父のことを話した。
「親父は。絶対に」
「兄さん、やっぱり」
「幸い目はなおった」
確かにだ。彼の目は見えている。しかしだというのだ。
「聞きたいことはある。山程な」
「なら私も」
ほたるもだ。兄の言葉に決意した顔になり言った。
「兄さんと一緒に」
「戦うか」
「そうするしかないのなら」
そうするとだ。言うのである。
「そうするわ」
「そうか」
「だから兄さん、全部背負わなくていいから」
「御前も背負うというのか」
「兄妹じゃない」
妹が言う根拠はそこにあった。
「だからね」
「そうか。だからか」
「ええ、だから」
「わかった。それならだ」
「私も戦っていいのね。お父さんと」
「兄妹だ」
牙刀もだ。こう言うのだった。
「それならばだ」
「有り難う」
「礼はいい。それならだ」
「ええ。今はここを切り抜けて」
「生きる」
兄妹もだ。共に戦いながら先に進む。ジェニーもまた。
懸命に戦い駆けつつだ。先を見ていた。
道筋を見てだ。仲間達にこう言うのだった。
「もうすぐよ。この森を抜けたら!」
「よし、行くぞ!」
「このまま!」
甘寧と諸葛勤が応えだ。森を一気に抜けにかかる。六人は今森を抜けた。
そのまま船の場所に向かおうとする。しかしそこに。
白い服にだ。ピエロを思わせるメイクをして杖を持った不気味な男が立っていた。それは。
「あんた、まさか」
「そうだよ。ホワイトだよ」
男は悠然とした動作で前に来てだ。ジェニーに答えた。
「僕もこの世界にいるんだ」
「俺もだ」
今度は紅い長い髪に細い蛇の様な身体の男が出て来た。
「ここにいる」
「フリーマン、あんたも」
「僕達はここでね」
「于吉達と共にいる」
そうしてだというのだ。
「で、今は君達を帰さない為にね」
「ここにいる」
「くっ、後ろからはまだ来ているぞ」
「また囲まれたわね」
甘寧と諸葛勤が後ろと周りを見回しながら言う。
「そう簡単には帰させはしない」
「司馬尉らしいわね」
「司馬尉さんはとてもいい人だよ」
「俺達と考えが同じだからな」
ホワイトとフリーマンにとってはそうだというのだ。
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