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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十三話 甘寧、敵陣を見るのことその六

「寸分の隙もだ。全くない」
「迂闊に攻めることはできないわね」
「そうだな。これはかなりな」
「司馬尉、やっぱり只者ではないわね」
「いい意味でも悪い意味でもな」
「後は」
 諸葛勤は甘寧と話しながらその陣をさらに見る。さらにわかったことは。
 柵の中の闇の色の天幕と旗が林立する中に白装束の者達が短剣と弓矢で武装しているのが見える。しかしそれを率いる者達は。
「将は少ないわね」
「やはり于吉達やオロチの者達か」
「それに司馬尉達でしょうね」
「将が少なくしかも戦う者が主体か」
「司馬尉がいるにしても」
 それでもだというのだ。二人は敵に将が少ないことに気付いた。
 それでだ。こう言ったのだった。
「そこを衝けば」
「互角以上に戦えるな」
「数は互角だから」
 こちらもだ。百万の大軍がいるからだ。数は充分だった。
「ただ。白装束の者達は一人一人が手強いから」
「刺客の強さだ」
「武具は弓以外は短剣しかないわ」
「じゃあそこを衝いて」
 戦おうというのだ。
「こちらは斧に槍もある」
「それに弓矢もね」
「後は敵の弓矢をどうにかして使えなくするか減らす」
「そうすればいいわね」
「よし、わかった」
 ここまで見てだ。甘寧は確かな顔で頷いた。
 それからだ。一同にこう言うのだった。
「ではここを去ろう」
「目的は察したわね」
「そうだ。これ以上の長居は危険だ」
 戦いの中で生きてきたからこそだ。直感で感じ取れることだった。
 それでだ。仲間達にまた言った。
「帰るぞ」
「ええ、それじゃあ」
 こう話してだった。彼等は。
 そこから去る。しかしだ。
 その彼等の前にだ。あの女達がいた。
 バイスとマチュアだ。二人が立っていた。そうしてだ。
 危険な笑みを浮かべながらだ。六人に言ってきた。
「見事ね。ここまで来るなんて」
「そうして私達の陣を見るなんて」
「見たいものは全部見させてもらったわ」
 ジェニーが二人に悠然と笑って返す。
「だからもう帰るわ」
「生憎だけれど帰ってもらう訳にはいかないわ」
「陣を見られたからにはね」
「何か化け物の正体を見た時みたいな言い方だな」
 二人のそうした言葉を聞いてだ。ロックが二人を鋭い目で見返す。
 それからだ。一歩前に出て言葉でも返した。
「御前等の陣はそこまでのものか?」
「ええ。戦いに勝って私達の目的を果たすにはね」
「陣のことは見られたら困るのは当然でしょう?」
「確かにな。それならか」
「あんた達だけじゃないでしょ」
 ジェニーが二人を見返すとだ。ここでだ。
 六人の周りにだ。白装束の一団が出て来た。そのうえで彼等を囲みだした。
「ほら、出て来たわね」
「さて、それではね」
「死んでもらうわ」
「いつものパターンももう飽きたな」
 ロックは囲まれてもだ。それでもだ。
 冷静なままでだ。バイスとマチュアにこう言った。
「じゃあ後はな」
「脱出するというのね」
「この中から」
「ああ。俺はまだカインに聞きたいことがあるからな」 
 だからだというのだ。
「俺の母さんのことをな」
「あのギース=ハワードの妻」
「あの女のことね」
「御前等は母さんのことは知らないよな」
「私達のこととは関係ないことだから」
「悪いけれど知らないわ」
 そうだとだ。二人もそれは知らないと返す。
「だから貴方のお母さんのことを知りたいのなら」
「私達のこの輪から脱出することね」
「じゃあそうさせてもらうわ」
 ロックも応えてだ。そうしてだった。
 ロックが最初にだ。攻撃を放った。
 右手に青白い気を溜めてだ。地面に叩きつけて走らせる。
「喰らえ、烈風拳!」
「!?その技は」
 牙刀がその技を見て声をあげた。
 
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