恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十三話 甘寧、敵陣を見るのことその三
「ここに布陣している可能性が高いわね」
「ではここに向かうか」
「ええ。ただ」
それでもだとだ。ここでまた言う諸葛勤だった。
「敵の陣に近付くとなると」
「向こうもだな」
「相当な数が集っているから」
それでだというのだ。
「迂闊に近寄ってはやられるわ」
「そのことはわかっている」
甘寧は真剣な顔で諸葛勤に応える。
「敵の場所を遠場から確認してだ」
「それからどうするかよね」
「一旦離れる」
甘寧は己の考えを諸葛勤に述べた。
「それからだが」
「正直。河から観るのは危険ね」
諸葛勤はここで周りを見回す。そこは。
見渡す限り河だ。見るのを阻むものは何もない。
その中でだ。諸葛勤は言うのである。
「敵にも見つかるし」
「そうだ。そこが問題だ」
甘寧も言う。
「それは夜でも同じだ」
「夜のうちはいいけれど」
「それでも朝になれば」
「すぐに見つかる。それでは意味がない」
「ではどうするべきかね」
「とりあえずは遠場から敵の布陣の場所を見る」
場所を確認してだ。それからだというのだ。
「後は丘にあがるか」
「そうして丘から敵の陣に近付きそのうえで」
「詳しく調べる。それでどうだろうか」
「危険ね」
諸葛勤は甘寧の考えにまずはこう言った。
「敵の陣に近付くことも」
「しかしだ。そうでもしなければだ」
「敵の詳しいことはわからないわね」
「だからだ。どうだろうか」
「危険だけれどそれでも」
諸葛勤の目が鋭くなった。その整った目がだ。
「そうでもしないとね」
「そうだ。わからない」
それでだとだ。甘寧も言う。
「だからこそだ。そうしよう」
「そうね。じゃあジェニー達とも話してね」
「決めるとしよう」
すぐにだ。二人はジェニーの船に向かいだ。彼女達と話をした。そうしてだ。
ジェニーがだ。二人にこう答えた。
「それがいいと思うわ」
「賛成してくれるか」
「この案に」
「私だって海賊よ。水のことはよくわかるわ」
それでだというのだ。
「何も遮るものがない場所から見るのはね」
「危険極まる」
「丸見えだから」
「近くには寄れないわ」
ジェニーも真面目な顔で話す。
「そこが問題になるから」
「だからだ。丘の上から近付きだ」
「敵をよく見ようということでね」
「決まりね。確かにそれも危険だけれど」
それでもだというのだ。ジェニーも。
「河から見るよりはずっと安全ね」
「問題は船を何処に泊めるかだ」
牙刀はそのことに言及する。
「若しその泊めている船が見つかれば我々は帰られなくなる」
「何処かいい場所はないのか?」
ロックは甘寧と諸葛勤に尋ねた。
「南岸の方に」
「もう見つけてある」
「その場所はね」
甘寧と諸葛勤はロックのその問いにすぐに答えた。
「敵がいると思われる場所からは少し離れているがだ」
「ここなら問題はないわ」
「ここですか」
二人は四人にも地図を見せていた。その南岸の入り組んでいる場所が指差される。ほたるはその場所を見て言うのだった。
「ここはかなり入り組んでいますね」
「リアス式ね」
その複雑に入り組んだ場所を見てだ。ジェニーは言った。
「隠れるにはもってこいの場所ね」
「しかもここはね」
諸葛勤がその場所についてさらに話す。
「山場になっていて木も多いから」
「船を余計に隠しやすいわね」
「ええ。ここならどうかしら」
「いいと思うわ」
ジェニーが真剣な顔で答えた。
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