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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十三話 甘寧、敵陣を見るのことその二

「長江は大河だからな」
「そうよね。本当に海みたい」
 ほたるもだ。このことを今肌で感じていた。彼女も共にいる。
「黄河も凄かったけれど」
「ええ。ただね」
「ただ?」
「この時代のこの世界もどうやら」
 ジェニーはこう話すのだった。
「長江は比較的穏やかな河みたいね」
「穏やかですか」
「ええ。黄河は暴れ河なのよ」
 ほたるにこのことも話す。
「それと比べるとね。長江はかなり大人しいのよ」
「じゃあ急に激流が来たりはしないか」
「建業の辺りでは逆流もあるけれど」
 少なくともだ。この赤壁の辺りはだというのだ。
「ここは大丈夫ね」
「安定してるんですね。流れが」
「そうよ。それじゃあね」
 ここでまた言う彼女だった。
「とりあえず何か食べる?お腹空いたでしょ」
「ああ、じゃあステーキでも焼くか」
 ロックが仲間達に言った。
「どうだい?トムヤンクンも作ってな」
「それはいいことだ」
 牙刀はトムヤンクンと聞いてこう言った。
「では頼む」
「ああ、じゃあ早速作るな」
「船の上だから揺れるのには気をつけないといけませんね」
「安心しろ。幾ら揺れても失敗する様なへまはしないさ」
 ロックは微笑んでジェニーに述べて。そうしてだった。
 船の中に入ってそうして調理に入った。それでだ。
 船の上に作った料理を持って来た。四人はそこでテーブルに着き。
 食事をはじめる。ステーキにトムヤンクンだ。
 そのステーキを食べながらだ。ジェニーが言った。
「あれよね。やっぱりね」
「ステーキを食えることがか」
「ええ、これがいいのよ」
 こうだ。ジェニーはフォークとナイフを使いながら笑顔で話す。
「人間肉を食べているうちは負けないわよ」
「魚は駄目か」
 牙刀はトムヤンクンの中の魚を食べながら言った。
「それは」
「別にいいでしょ。食べられれば」
「そうか」
「とにかくお腹一杯食べているうちはね」
 どうかというのだ。そうであれば。
「人間負けないわよ」
「そうだな。人間食えればそれで違うからな」
 このことはロックも頷く。
「逆に言えば餓えれば終わりだ」
「そのことは問題ないですよね」
 ほたるもステーキを食べながら問う。
「我が軍は」
「補給はしっかりしているからね」
 そのことをジェニーも言う。
「都からだけじゃなくて長江も使ってだし」
「あと許昌からもだったな」
「補給は万全よ」
 それはもう孔明達が最初に考えて万全の態勢を敷いたのである。
「後はどうやって勝つかよ」
「それでその為にだな」
「ええ、偵察よ」
 ジェニーは笑ってロックに応える。そうしてだ。
 一枚食べ終えテーブルの真ん中にうず高く積まれている肉を一枚取ってだ。それも食べはじめる。それからまたロックに対して言った。
「敵の数に布陣とね」
「それと装備とかもだな」
「ええ、全部見ないとね」
 それが目的だというのだ。
「勝つ為にね」
「では美味いものを食べながらだ」
 牙刀が落ち着いて話す。
「敵を探して調べるとしよう」
「ええ、それじゃあ」
 こんな話をしながらだ。彼等は長江の南岸を目指す。それは甘寧達もだった。
 彼女は傍らにいる諸葛勤にだ。こう尋ねた。
「さて、敵だが」
「この辺りの地形だけれど」
 諸葛勤は地図を開きながら甘寧に応える。
「敵が布陣しそうな場所は」
「ここだろうか」
「ええ、ここね」
 比較的なだらかになっている場所を見ながらだ。二人は話した。
 
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