夢幻水滸伝
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第二百二十一話 遼寧省での苦労その三
「市庁まで案内させてもらいます」
「悪いな」
「いえいえ、これも縁ですから」
「ええか」
「そうさせてもらいます」
男は優しい感じでこう言ってだった。
屈を市庁まで案内した、そしてだった。
市庁まで来るとそこにいる門番の兵達に事情を話してからまた屈に話した。
「後はです」
「この兵隊さん達に言うとか」
「市長さんにお会い出来ます」
その瀋陽のというのだ。
「少なく瀋陽とその周りは一つになっています」
「中でごたごたしてへんか」
「はい」
そうだというのだ。
「まとまっていますので」
「市長さんにお話をするとか」
「瀋陽とその周りは大丈夫かと」
「治められるか」
「そうかと。では私はこれで」
「ああ、何かと世話になったな」
「これも縁です」
男はここでもこう言った、そうしてだった。
彼は屈と再会を約束してそのうえで手を振り合って別れた、その後で。
屈は門番の兵達のところに行くとオークとオーガの兵達から言われた。
「お話は聞きました」
「では市長さんのところに案内します」
「すぐに人が来ますので」
「案内を受けて下さい」
「わかったで」
屈は笑顔で応えた、そしてだった。
彼は市長の部屋に案内された、市長はダークエルフの壮年の男だった。銀のロングヘアで着ている服は黒と青の清朝の高官の服だ。
その彼がだ、屈が部屋に入ると。
もう立っていて彼に自分から声をかけてきた。
「お話は聞いています、是非です」
「この世界をやな」
「お救い下さい、その為でしたら」
「協力してくれるか」
「この街と周りを治められるなら」
屈がそう考えているならというのだ。
「是非です」
「そうしてええか」
「そうされて下さい」
「実はまだ何をすべきかな」
それがとだ、屈は市長に話した。二人は今は椅子に向かい合って座っている。その間には卓がある。
「わかってへん」
「そうなのですか」
「この世界を救うにしてもな」
その考えは確かにあるがというのだ。
「それはすべきと考えていてもな」
「それでもですか」
「どうもな」
具体的にはというのだ。
「そこまでは」
「そうですか」
「ほんまにな、ただな」
市長に考える顔で述べた。
「僕は鍵師でな」
「職業がそうで」
「別に戦に秀でても術が得意でも政に長けた訳でもない」
職業的にそうだというのだ。
「手先が器用ではあってもな」
「それでもですね」
「すべきことはな」
それはというのだ。
「具体的に何か、けどな」
「それでもですか」
「この世界を救うにあたってこの街と周りを治めることがやな」
「はい、やはりです」
何といってもというのだ。
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