恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十二話 一同、赤壁に出陣するのことその七
「だから私達としてはね」
「その北西、長江の北岸に布陣して」
「そのうえで戦えばいいわね」
「敵はどうやら長江の南岸にいるわ」
周瑜は敵のことについても述べた。
「民達が何人か。怪しい者達を見たとも言っているし」
「間抜けね。と言いたいところだけれど」
「あえて見せているでしょうね」
「ええ、私達にあえて北岸に布陣させるつもりね」
「私達は北岸に布陣して風を背にして攻めるわ」
これが彼等の基本的な戦術構想だった。
「それで絶対に勝てるわ」
「筈だけれど」
「私も。あの連中がどう考えているか気になるわ」
「あの連中のこれまでを思い出すと」
孫策は険しい顔になって周瑜に述べた。
「間違いなく企んでいるわね」
「今回もね」
「ええ、風を背にして攻める私達に対してね」
「どうするべきかしら」
孫策は己の軍師であり親友でもある周瑜に問うた。
「ここは」
「そうね。まずは北岸に来て布陣して」
「そのうえで考えるというのね」
「まずはね。そうするべきかしら」
こう言うのだった。孫策は。
「北岸に着いてからよ」
「船だけれど」
「船は。どうしようかしら」
「我が軍には船酔いする兵達が多いわ」
周瑜が懸念していることの一つだ。
「袁紹や曹操の兵の殆んどがね」
「あの娘達の兵は馬だからね」
「それは仕方ないことだけれど」
「今回。船に慣れない兵が多いのが」
「足枷になっているわね」
「さて、どうしたものかしら」
孫策は首を捻りながら言った。
「一体」
「戦の前に色々と考えることが多いわね」
「今回は特にね」
「敵には」
周瑜はまた考える顔になりだ。今度はこう言った。
「色々な術を使える者がいるから」
「そうね。それもかなりね」
「司馬尉にしても雷を使うから」
このことは宮中におけることはだ。よくわかっていた。
「船に落雷なんて仕掛けられたらそれこそね」
「洒落にならないわね」
「それはどうしたものかしら」
孫策は真剣そのものの顔で周瑜に問うた。
「やっぱり。結界ね」
「そうね。結界を張らないとね」
「司馬尉の雷を封じないと戦を決められてしまうわ」
それだけでだというのだ。
「負ける訳にはいかないし」
「軍師の面々を集めて話したいわね」
周瑜もだ。真剣な顔で述べた。
「是非共ね」
「わかったわ。じゃあそれはね」
「任せてくれるかしら」
「任せるわ。そしてその後でね」
「ええ。決まったことを話すから」
こうしてだった。周瑜はだ。
軍師達を己の天幕に集めてだ。こう切り出した。
「問題は雷よ」
「落雷ね」
「それね」
田豊と沮授がまず応えた。
「司馬尉のあれね」
「確かに。船があれを受けると」
どうなるか。もう言うまでもなかった。
「あっという間に燃えて何もかも終わりよ」
「陸地に陣を置いても同じよ」
「雷には勝てないわ」
「あれにはね」
「ええ、そうよ」
その通りだとだ。周瑜も袁紹の軍師二人に話す。
「だから今こうして集ってもらったのよ」
「落雷の術をどうして封じるか」
「それですね」
今度は陸遜と呂蒙が言う。
「あれは妖術ですから」
「封じるには特別の方法が必要ですが」
「さて、どうしたものか」
今言ったのは程昱だった。
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