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おっちょこちょいのかよちゃん

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179 太陽の子の報復

 
前書き
《前回》
 杉山を捜索しに動くりえ達はツェサレーヴィチ・コンスタンチンの襲撃を受ける。苦戦するも悠一のテクンカネで召喚されたイマヌエルの加勢もあり、彼の異能の能力(ちから)を出す機械を破壊し、コンスタンチンを撃破する。だが、その戦いの直後、赤軍の山田義昭がピサロとエルデナンドと共に襲撃する。ありはエルデナンドと交戦するが苦戦させられ、己の身体を金塊にされる術を掛けられる!! 

 
 かよ子は連戦の疲労で頭がフラフラしていた。
「山田かよ子、少し眠れ」
 次郎長が促す。
「うん、でも・・・」
「でも、何だ?」
「またあの夢を見たらって思うと・・・」
「夢、だと?」
「そういえばお前、よくうなされてたよな」
 大野も思い出した。
「あの、レーニンって人の声が夢の中で聞こえたの、思い出したんだ・・・」
「そうか、だが、それで寝れんというのも後々に響いて良くないぞ」
「うん・・・」
 かよ子はとりあえず横になった。

 ありが失神しそうになる。
(殺、される・・・?)
 ありはそのまま意識を失った。
「終わったな、女、貴様事金にして持ち帰ってやる!」
 エルデナンドはありの身体を金塊にしようとした。ところが・・・。
「な・・・、できんだと!?」
 一輪の花がありの額に落ちた。赤い花だった。ありはそのまま起きた。
「これは・・・」
「そこの娘、大丈夫か?」
 別の男女および高校生男子と思われる人物二名が近づいて来た。
「はい!」
「気を緩めるな!」 
 ありは戦いの途中だった事を思い出す。
「エク・カムイ!!」
 ミントゥチが召喚される。
「ふざけやがって!!」
 エルデナンドは地面を爆発させ、周囲の人物を亡き者にしようとした。だが、ありが召喚したミントゥチによって水の渦が出され、砕かれた地面が水に吸い込まれる。そして男女の(カムイ)が黄色の雲を投げて地面を元に戻す。
「この女!」
 エルデナンドがまた威圧の能力(ちから)を使ってありを失神させようとする。だが、機械が不具合を起こした。
「な、発動しろ!」
 ありは別の(カムイ)を召喚した。パヨカカムイが現れる。そしてエルデナンドに病を媒介させるべく取り付いた。だが、エルデナンドの機械の一つから武装の能力(ちから)が発動し、パヨカカムイを撥ね返す。だが、パヨカカムイは食い下がらず、さらに分裂して機械を狙った。機械が壊れて使い物にならなくなる。
「俺の機械が!!」
 エルデナンドが慌てる。パヨカカムイがすぐ近くで襲撃する。
「こうなったら!」
 エルデナンドは自身を金にして攻撃を防いだ。
「しぶといわね、自分の身体を金にして防ごうだなんて悪足掻きもいい加減にしなさい!」
「黙れ!」
「我々が生きます!」
 二人の男女の(カムイ)が白い雲をエルデナンドに投げた。金になったエルデナンドに草が生え、更に虻や蜂が攻撃していく。
「うご、うご・・・!!」
 エルデナンドが苦しみ、もがく。
「変化を解いたほうがいいんじゃないかしら?」
「なんの・・・!!」
 エルデナンドは崩れた。
「崩れた・・・?」

 高校生男子二名は何もできずに見て震えていた。
「あの(ひと)、すげえ・・・!!」
「俺達は何もできへんかった・・・!!」

 一方、りえ達は山田義昭にピサロと交戦していた。
「倒した・・・?」
 みゆきのブーメランによる爆発でピサロを倒せたのかとりえ達は思う。しかし、ピサロははあ、はあと息を切らしていながらも何とか生きていた。
「な・・・!!」
「俺の機械は全て壊れていなかったからな」
 ピサロは自身の仕込んだ機械を壊されてはいても山田が仕込んでいた機械は全て破壊されていなかったので事なきを得ていたのである。
「な・・・!!生きてる!?」
「ピサロ、ひとまず退却だ!」
 山田が促す。
「おう」
 ピサロと山田は周囲に金の結界を張って瞬間移動しようとする。
「させるか!ピサロ!お前だけでも葬ってくれる!!」
 アタワルパが太陽の力を借りた光線をピサロに向ける。結界が一瞬で破壊された。
「させるか!」
「アタワルパとやら、私も協力する!」
 援軍として現れた男がアタワルパに加勢する。
「項羽!ありがたい!」
 項羽と呼ばれた男が刀をアタワルパの太陽の光線に向ける。アタワルパの光線はシャクシャイン、阿弖流為、母禮、イマヌエル、さらに項羽の能力(ちから)が混ざり、強力となる。そしてピサロは体が液状化していった。
「終わりだ、ピサロ、報復させてもらった!!」
「そんな・・・」
 ピサロは生前に因縁のある皇帝の報復を成功させられるなど屈辱にしかないと思い、光と化した。
「ピサロは倒されたが、仕方あるまい。杯は今度こそ必ず貰うぞ!!」
 山田義昭がピサロの術で消えていく。
「取り逃したっ!」

 ありはエルデナンドが崩れて行く様を見た。
「これは・・・」
 ピサロを倒し終えたイマヌエルが近づく。
「煮雪あり君、エルデナンドは倒せていないよ。身体を金にして傀儡にして安全な所に移動したんだ」
「そうだったの・・・」
 ありは倒し損ねた事に悔しく思った。
「イマヌエル、あのエルデナンドは私を護符の持ち主と間違えていたけど、さりと会っているの?」
「ああ、君達を襲う前に本部の領域を襲撃していたんだ。小学生のグループのいる所を狙ったんだけど、羽柴さり君達に反撃されたんだ」
「そうだったのね・・・」
 ありは妹も案外やるなと思った。
「あ、アンタ、凄い戦いだったよ!」
 高校生男子二名がありの前に現れた。
「す、すみません、折角来たのに援護できなくて・・・」
「ああ、大丈夫よ。もしかして敵の本拠地乗りこみに協力してくれる為に来てくれたの?」
「はい、俺は鎌山健次郎で、そしてこっちは立家隆太。大阪から来ました高校生です」
「もしかしてイマヌエルに頼まれて杉山君って男の子の救出に協力しに来てくれたの?」
「はい、わいらもお供します!」
「ありがとう」
「そこの女子、物凄い戦いであった。我が名は項羽(こうう)。そしてこちらは妻の虞だ。この鎌山健次郎と立家隆太と共に行動し、協力していた者。先程お主が気絶してもすぐに起き上がれたのは虞の花の能力(ちから)によるものだ」
「そうだったの。ありがとう。もし助けがなかったら、きっと私死んでたわ」
「いえ、(わたくし)はできる限りの事をしたまでです・・・」 
「援軍が来てくれたなら大丈夫だね。それでは私は本部に戻らせて貰うよ」
 イマヌエルはその場から飛び去って行った。
「では私も失礼しよう。エルデナンドを取り逃がした事は悔しいが、ピサロへの前世の報復は無事果たしたのだから。煮雪悠一と言ったな。また何かあったらその道具で私を呼ぶといい。また一緒に戦える時を楽しみにしよう」
「はい」
「そして杯の持ち主よ」
「えっ?」
「その杯は今でも十分強力な武器のようだが、何れはさらに強力になれる。戦いと共に極めるのだぞ」
「はいっ、頑張りますっ!」
「それでは」
 アタワルパが光に包まれる。そして消えた。
「それじゃ、先進みましょ」
 ありが促した。
「はいっ!」
 皆は冬田の羽根に乗る。
(杉山君・・・。絶対に取り返すからねっ!私はあんたがいてくれないとっ・・・!!)
 りえにはある思いがあった。

 かよ子は疲労で眠っていた。そしてまた夢を見た。暗闇の空間である。自分以外には誰の姿も見えなかった。
(何だろ・・・?)
 そしてレーニンと思わしき声が聞こえる。
[貴様らにあの少年を救う事は叶わぬ。会えたとしても絶対に戻るのを拒まれるだろう・・・]
(あの少年・・・?拒まれる・・・?)
 かよ子には「少年」と聞いてもしかしてと思った。 
 

 
後書き
次回は・・・
「李の森の夜」
 かよ子達は李の木が生い茂る森へと到着した。戦いを忘れて李狩りを楽しむかよ子だったが、夕食時になっても食後になってもまる子と友蔵が戻って来ない。道に迷ったのかと心配したかよ子達は二人の捜索に動き出す・・・!! 
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