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夢幻水滸伝

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第二百二十話 神と天の二人その十五

「政や戦の為にはしてても」
「自分の為にはやな」
「してへん」
 私の為にはというのだ。
「そうしてるんや」
「そういうことやな」
「もうここに宮殿はある」
 紫禁城がというのだ。
「それをそのまま使ってる、これでな」
「充分やな」
「むしろ過ぎるわ」
 かえってというのだ。
「ほんまにな」
「そこまでやな」
「そや」
 まさにというのだ。
「そやから自分にもな」
「この紫禁城でか」
「暮らして欲しいが」
「これまで家はなかった」
 この世界ではとだ、魯は答えた。
「風来坊でな」
「河北省を巡ってやな」
「人を助けてたが」
「それをな」
「これからはやな」
「今は家あるやろ」
 今の魯はというのだ。
「そやろ」
「一応な、部屋を北京に借りてる」
「それをや」
「これからはや」
「部屋も持っててな」
 そしてというのだ。
「それでこの紫禁城にもな」
「住むことか」
「どないや」 
 こう言うのだった。
「これからはな」
「そうしてええんか」
「正直広過ぎてあかんわ」
 羅は笑って話した。
「ここはな」
「一人やとか」
「後宮はないけど建物はあるんや」 
 本来後宮であるべき場所はというのだ、三千人の宮女と彼等の世話をする宦官達がいる場所はというのだ。
「そこに一人おるとな」
「広過ぎるか」
「部屋が幾つでもあってな」
「その殆どが使われてへんか」
「幾ら使ってもな」
 部屋をというのだ。
「ほんまにな」
「使ってへん部屋が多いからか」
「どないや、紫禁城で住むか」
「そうしてええか」
 魯はここまで聞いて羅に問うた。
「おいらも」
「今紫禁城になってるモンの言葉や」
「ほなやな」
「ああ、これからはな」
「一緒にな」
 こう言ってだ、魯は笑顔で応えた。そしてだった。
 魯は紫禁城にも自分の部屋を持つことになった、だが。
 起きた世界では後宮になっている羅の御殿に入って彼は言った。
「広いなんてもんやないな」
「そやろ、部屋も多くてな」
「まるで迷路やな」
「何処にどんな部屋あるか覚えるのに苦労したわ」
「そやろな」
「部屋は幾らでもあるからな」 
 使っていないそれはというのだ。
「そやからな」
「好きな部屋使ってええか」
「二つ三つ持ってもな」
 使う部屋をというのだ。 
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