八条学園騒動記
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第六百三十九話 踊ることもその十
「そうしていってね」
「生態系は乱さないか」
「そうなの、ユダヤ系の知恵はね」
それはというのだ。
「そうしたところにね」
「出るか」
「そうなの」
まさにというのだ。
「そうなのよ」
「成程な」
「しかし皆魚介類も食べてるわね」
周りを見ればそうだった、そうしたものを串カツにしたものも多く出ている。
「美味しそうね」
「食べたいか」
「いや、戒律に反するから」
アンはきっぱりと答えた。
「だからね」
「いいか」
「戒律に反することは」
真面目な口調での言葉だった。
「私もね」
「いいか」
「ええ」
そうだというのだ。
「遠慮するというか」
「否定するか」
「他の人が食べてもいいけれど」
それは構わないというのだ。
「けれどね」
「自分はか」
「戒律に反しているから」
それ故にというのだ。
「別にね」
「いいか」
「ええ」
そう考えているというのだ。
「私も何だかんだ言っても」
「戒律は大事か」
「絶対だから」
そう認識しているからだというのだ。
「だからね」
「それでか」
「もうね」
それはというのだ。
「私も破らないの」
「そうなんだな」
「神は人が何処にいても見ておられるし」
「それはアッラーも同じだがな」
「いや、神罰がね」
「下るか」
「イスラム教と違うから」
その神罰が下る度合いそしてそのレベルもというのだ、兎角旧約聖書では神罰は頻発でかつ厳格である。
「それでよ」
「気をつけてか」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「私も生きているの」
「窮屈じゃないか」
「そう感じていても」
それでもというのだ。
「もうね」
「身体に滲み付いているどころじゃないな」
「代々でそれが何千年よ」
そこまでのものだからだというのだ。
「そんな風だから」
「そうしているか」
「そうなの、だからこれからもね」
「贅沢もしないか」
「漫画家になってもね」
将来の夢を適えてもというのだ。
「そうしていくわ」
「わかった、じゃあな」
「ええ、そういうことでね」
「僕はわかった」
こうアンに言ってだった。
ギルバートは彼女に牛の串焼きを出した、そうして彼女と共に食べて飲んで文化祭の最後の時間を過ごした。
踊ることも 完
2021・10・9
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