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八条学園騒動記

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第六百三十八話 酒が進むその十一

「極限生活だ」
「日本の国家予算の中で千分の一程度らしいわね」
「宮内省全体でな」
「滅茶苦茶少ないわね」
「そして皇居もだ」
 これもというのだ。
「ああしたものだ」
「ちょっとしたお金持ちの別荘みたいな感じで」
「平安時代のものを再現したそうだがな」
 ただし内装は流石にこの時代のものである、この時代の人間に平安時代の暮らしは到底無理なことであるからだ。
「あの通りだ」
「清涼殿とかあるわね」
「当時は見事だったが」
「今じゃね」
「非常に質素なものだ」
「それでなのよ」
 アンはここでまた言った。
「ユダヤ教ではね」
「日本の皇室の様に質素でか」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「もうそれが定着する」
「やはり皇室の様にだな」
「そうなってこそってね」
「言っているか」
「やっぱり同じ連合の国で」
「いつも見るからだな」
「それでね」
 このことがあってというのだ。
「どんなお金持ちでもね」
「質素になれ、か」
「贅沢は堕落で」
 そしてというのだ。
「神の教えに反するから」
「戒められているな」
「そういうことよ」
「厳しいな、本当に」
「そうした宗教ってことよ」
「そうだな、しかし」
「しかし?」
「宗教が違うがな」
 ギルバートはこのことを指摘した。
「日本の皇室とでは」
「あちらは神道だからね」
「日本のな」
「その大本よね」
「日本の皇室は神の子孫とされている」
「天照大神の」
「その出自は実は謎だ」
 そもそも日本の歴史は神話から続いている、その中で神武帝が出られているが神話を歴史でないとすると出自もそうなってしまうのだ。
「あちらはな」
「そうよね」
「エチオピア皇室も実はそうらしいな」
「ソロモンとシヴァの女王の子孫とのことね」
「本当か」
「それがわからないから」
 何分大昔のことでだ。
「あちらも実はね」
「出自が不明だな」
「あまりにも歴史が古過ぎてね」
 歴史が生まれる以前から存在している家だからだ。
「それで日本の皇室はね」
「神の子孫とされていてな」
「神道の大本ね」
「そうだがな」
「そこはもうね」
 宗教の違いはというのだ。
「同じ連合の国ってことで」
「気にしていないか」
「ええ、何か神道とユダヤ教の類似性も言われるけれど」
 この議論はこの時代にも存在している。 
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