夢幻水滸伝
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第二百十九話 幻術師の決断その十一
「そのこともな」
「面白いですか」
「ああ、起きた世界と同じや」
それも現代のというのだ。
「そこもな」
「左様ですか」
「おいらとしてはな」
「そうなのですね」
「何かと違うが同じところもあって」
「下着や食事が同じですか」
「しかも冷凍技術もあるな」
この技術もというのだ。
「そやな」
「術を使ってですね」
「食べもの凍らせたりするな」
「そして冷気を保つ技術もですね」
「あるな」
「はい、それは」
まさにとだ、高官も答えた。
「おうした技術も」
「そうしたこともな」
「面白いですか」
「実にな」
高官に明るい声で話した。
「何かと」
「こちらの世界では普通でも」
「おいらから見るとおもろいで」
「そうですか」
「それでこの世界にも愛着が出て来た」
そうもなったというのだ。
「そやからな」
「この世界を救いたいですか」
「好きになったさかい」
それ故にというのだ。
「そうなったわ」
「そうですか」
「そやからな」
それでというのだ。
「やらせてもらうで」
「宜しくお願いします、星の方は心根が奇麗と聞いていますが」
「そうなんか」
「そうした方だからこそ」
それ故にというのだ。
「世界を救えるのですね」
「心がええからか」
「絶大な力を持ちつつ心が腐っている」
高官は前を見て言った。
「若しそうであるなら」
「世界は救えんな」
魯もすぐに答えた。
「その場合は」
「左様ですね」
「もうな」
それこそとだ、魯はさらに言った。
「それで暴君もな」
「なりますね」
「暴君は実は能力は高い」
中国の暴君の代名詞である殷の紂王は怪力の持ち主で武芸に秀で頭の回転が極めて速く弁も立った。だが残虐で贅沢を好んだと言われている。そうした性根の為に暴君になってしまったというのだ。
「しかしな」
「その心がですね」
「どうにもならん」
「折角能力が高くとも」
「性根が悪いとな」
「どうにもならないですね」
「逆に能力に疑問符が付いても」
魯はその場合も話した。
「心がええとな」
「それで、ですね」
「随分と助かる」
「左様ですね」
「ああ、無能でもな」
例えそうでもというのだ。
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