夢幻水滸伝
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第二百十七話 お好み焼きを食べながらその九
「人間のその怖い部分をな」
「描いてるっていうんやな」
「中国やともっと視覚に来るな」
「そうしたもんか」
「アメリカやとインパクトか」
「この話色々あるけどな」
施はビールを飲みながら話した。
「その国それぞれで」
「ホラー映画についてはな」
「その国の人それぞれのポイントがあるわ」
「それで日本は人の内面やな」
リーはまた述べた。
「怨霊にはそれが出てるから怖いっていうねんな」
「そやねん、源氏物語でも出てるけれど」
綾乃が答えた。
「生霊も死霊も。六条さんのが」
「源氏物語はそやな」
リーは鋭い顔で返した。
「幽霊も出るな」
「恋愛ものやけど」
「それでもやな」
「幽霊も出てて」
そしてなのだ。
「それがやねん」
「人の内面を出してる」
「怖いところをな」
それをというのだ。
「それで怖いねん」
「そういうことか」
「人の心が一番怖いんや」
中里は強い声で言った。
「日本ではそうした考えでな」
「それで僕等も言うてるんや」
芥川が続いた。
「怨霊こそがってな」
「それと比べたら蛸も烏賊も怖ないわ」
「美味しく食べられるもんでしかないわ」
それこそというのだ。
「もうな」
「そういうものでしかないわ」
「まあ大きな蛸や烏賊は固いさかい」
綾乃はたこ焼きをはふはふと食べながら言った。
「あまり美味しくないけど」
「怖ないか」
「そやねんな」
「ほんまに全く、鮫でも」
トウェインとメルヴィルに答えた。
「やっぱり食べられるし」
「それも美味しくやな」
「人食い鮫でも」
「実際結構いけるで、鮫」
綾乃はたこ焼きの次は日本酒を飲んだ、大ジョッキにある酒はまたしても凄まじい勢いで減っている。
「エイにしても」
「エイ普通に食べてるしな」
「日本ではな」
トウェインとメルヴィルはまた言った。
「煮凝りとかにして」
「あと肝も食べるな」
「どっちもいけるで」
こう言うのだった。
「鮫もエイよ」
「鮫はフカヒレがあるけれどな」
「中国はあなり食べんな」
羅と施はたこ焼きを食べながら言った。
「他の部分は」
「蛸や烏賊は兎も角」
「エイもな」
「食べるにしても」
「それが美味しいさかい」
綾乃は中国の二人にも述べた。
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