DOREAM BASEBALL ~夢見る乙女の物語~
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ポテンシャル
前書き
構想ができてるので時間さえ取れればストーリーはどんどん進みます。ただ、時間がないのが一番の問題です( ノД`)…
莉愛side
それから一週間、私たちは守備練習を中心に練習を行いました。もちろんバッティング練習もやったけど、紅白戦を行うことを考えて緊張感のある試合をするために全員が守る可能性があるポジションを練習する時間が多く取られていた。
そして今日は試合当日!!しかも、今日の結果次第では明日からの試合の出場も可能になるとのことで、先輩たちはもちろん、私たち一年生もすごく気合いが入ってる!!
「今日の紅白戦、チーム分けは俺の方でしたけど、打順は好きに弄ってもらって構わない。スタメンのポジションだけはこっちで決めたから、あとは自由にやってくれ」
なんだか言葉だけを聞くとやる気がないように聞こえるけど、監督がそう言ったのには理由があった。それは、今日の審判は監督がやるから!!
球審をやりながら私たちがどのくらい動けるのか見ていきたいということらしい。それに、両チームに上級生がバランスよく入っているため、彼女たちがどれだけチームのことを見ているかも見る目的があるらしい。
「あと30分で試合始めるから、ミーティングとかはそれまでに済ませておくように。じゃあ陽香、栞里、任せるぞ」
「「はい!!」」
そう言ってバックネット裏にある監督室へと向かう監督。それを受けて、今回の試合のキャプテンに指名されている陽香さんと栞里さんがそれぞれのチームに指示を出す。
「じゃあ私たちが三塁側だから、移動しよう!!」
栞里さんはそういって私たちに指示を出す。今回私は栞里さんのチームなので、彼女の後ろにくっついて三塁側ベンチへと向かう。
「莉愛すごいね!!中学まで野球やってなかったんでしょ?」
移動している最中に隣に来た光吏に声をかけられる。今回一年生でスタメンに入っているのはこちらのチームでは私と若菜、相手チームでは紗枝と夏海がそれぞれスタメンに入っている。
「うん!!だからすごい楽しみなんだ!!」
今回スタメンに選ばれた一年生で未経験なのは私だけらしい。ポジションの関係もあるんだろうけど、それでもこんなに早く野球をできると思ってなかったから、緊張よりも楽しみの方が勝っている。
「じゃあ打順決めてサインも決めちゃおうか、どうする?伊織」
「う~ん・・・」
栞里さんと伊織さんがこちらのチームの中心人物になる。優愛ちゃん先輩と明里さんもいるけど、二人は二年生だからか一歩引いた感じといった印象だ。
「よし!!じゃあ打順発表するよ!!」
意外とすんなり打順も決まったようですぐに発表する栞里さん。この試合の打順はこんな感じになった。
1番 センター 菊池明里
2番 ショート 高嶋伊織
3番 ファースト 飯島恵
4番 セカンド 渡辺優愛
5番 ピッチャー 新田栞里
6番 サード 村岡曜子
7番 レフト 北村若菜
8番 ライト 小野友里恵
9番 キャッチャー城田莉愛
「向こうは陽香が最初の三回投げて、そのあとに瑞姫ちゃんが投げてくるはずだからね。いいピッチャー二人から点取りたいなぁ」
瑞姫は中学時代から注目を集めていたらしく、東英からも推薦が来てたらしいけど、それを断ってこの明宝への進学を決めたらしい。陽香さんと瑞姫は別々のチームになるとみんな思ってたけど、同じチームになると聞いて驚かされたのは言うまでもない。
「うちは私が投げた後楓と奈央に投げてもらうからね。準備だけよろしくね」
「OK!!」
「わかりました!!」
今日の試合は一年生でピッチャーを務めるのは瑞姫だけらしい。元々投手希望者の大半がやめてしまったこともあるし、何より経験値が少ない一年生を投げさせると試合がだらけてしまうことも考えてのことらしい。
「サインは帽子がバント、胸が盗塁、ベルトがエンドランでいいよね?ただ、基本的には自由に打ってもらっていいよ。特に陽香から打ったら自信になるよぉ?」
先ほどから煽りの要素を入れてきている栞里さん。隣にいる伊織さんが笑いを堪えているところを見ると、彼女は私たちに気合いを入れるためにおふざけ要素を入れているのが理解できる。
「それじゃあ、あとは各々準備しておいて!!莉愛ちゃん!!ブルペンいくよ!!」
「はい!!」
ちゃっちゃとミーティングを終えるとすぐに動き始める栞里さんに慌てて付いていくため、プロテクターを着ける。相手のチームはまだベンチの前でミーティングをしているところを見ると、かなり細かいところまで確認しているのが伝わってくる。
(紗枝と夏海は何番に入ってるのかな?)
中学時代から硬式野球をやっていた紗枝と軟式出身なものの、レギュラーとして試合に出てた菅原夏海。紗枝はセカンド、夏海はサードと内野手として高い守備力がある……って瑞姫が言ってた。
「お待たせしました」
「大丈夫、よろしくね」
プロテクターをつけ終えた私はブルペンに先に来ていた栞里さんとキャッチボールを始める。初めての試合なんだけど、全然緊張している感じはしない。だからなのか、栞里さんのボールもよく見え、ミットの芯で捕らえることができる。
「ナイスボールです!!」
栞里さんの胸元を狙ってボールを返す。彼女から放たれるボールが速くなってくるに連れて、試合が近付いてきていることが実感できてきたからなのか、胸が高鳴ってきているのを感じていた。
栞里side
小気味いい音を鳴らしてボールを捕球する少女。その後の返球されるボールも胸元付近にほとんど来るため、私は驚かされていた。
(まだ初めて一ヶ月も経ってないのに……)
この試合が始まる前の全員が集まってのミーティング点…その前に、監督から呼び出されある指示を出されていた。
『この試合、莉愛のサインに首を振るなよ』
初めてのキャッチャーということもあってかどんな配球をするのか見たいということなんだろうと思っていた。でも、この感じを見るともしかしたら違うかもしれない。
(まさか莉子と本気で正捕手を争わせるつもりなのかな?)
マウンドを慣らしながら相手のブルペンに目をやる。そこで既にキャッチャーを座らせて投げているエースと、それをこちらに負けじといい音を出して受けている正捕手。
(でもキャッチャーの仕事は受けるだけじゃないよ。リードにポジショニング……ランナーが出たらそのケアまでしなくちゃいけない)
初心者がこなすには過酷なポジション……それがキャッチャー。他のポジションよりもやらなければならない仕事が多いため、プロ野球などでは多少打てなくても仕方がないと判断される特殊なポジション。
(もしかしたら次のチームのことも考えてるのかもね。優愛たちじゃ打力はいいけど、守備が壊滅的になっちゃうだろうからね)
今のチームでも打撃の中心にいる優愛と葉月。そして総合力も高い明里の三人はキャッチャーの経験はない。というか、二年生にキャッチャー出身者はいないので、新チームになるとこのポジションが必然的に空いてしまう。
(この試合から少しでも経験を積ませようってことなら、言われた通りサイン通りに投げるよ。まぁ、あまりにも変な配球だったら、さすがに指導するけどね)
少しずつピッチを上げながら莉愛のミット目掛けてボールを投じる。そのボールもまたいい音を出してくれる彼女に、気持ち良さを感じていた。
後書き
いかがだったでしょうか。
いよいよ主人公に焦点が当たり始めてきました!!
次からはようやく試合開始です。
今までは巻きながら試合してましたが、ここからは時間がかかりながらなのでご了承ください。
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